2024年4月16日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年11月24日

 この発言に対し、中国側報道官は「欧州諸国は直ちに過ちを正し、 台湾独立分裂勢力に間違ったシグナルを発するな」などと猛反発した。 

インド・太平洋地域への関心も高まる

 ごく最近、中国はEU諸国が台湾の「分裂主義者」たちと誤った方向に協力し合っているとして、台湾の蘇行政院長(首相に相当)、游立法院長(国会議長)、呉外相の三人を「台湾分裂主義者」として刑事責任がある、と指名の上、「生涯追求」のリストに載せ、 今後、中国大陸、香港、マカオなどへの入境を禁止する、との新しい措置を打ち出した。

 このような措置が、台湾当局の指導幹部を「制裁」する上でどの程度の効果があるのかわからないが、今日の習近平指導体制の対台湾強硬姿勢から見れば、このような形を取りたいのであろう。多分に、中国国内向けの措置のようである。 

 台湾海峡の緊張増大に呼応した形で、中東欧のみならず欧州全体のインド・太平洋地域への安全保障上の関心が高まりつつある。 本年に入ってから、英国の空母打撃軍をはじめとして、フランス、 ドイツ、カナダの艦隊が覇権主義的動きを強める中国を牽制するために台湾海峡を含むインド・太平洋地域に回遊した。これら艦隊のいくつかは、日本の港湾に寄港し、自衛隊との間で共同訓練を実施したりした。 

 これら東欧を含む欧州全体の動きを見れば、安全保障上の理由や人権問題への考慮から、台湾に対する親近感を抱く国々が、徐々にではあるが着実に増大しつつあることが明白に見て取れる。

   
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