妻の初子は、離婚届をいつでも中島に送れる状態にして隠している。しかし、義母の菊子はそれを知っている。
菊子は離婚してもいいと初子にいう。
家族とはなにか
突然現れた夫によって、高校生の娘の進路についても騒動が持ち上がる。模擬試験の成績が芳しくなかったので、地元の愛媛大学への進学をあきらめて、たまたま帰ってきた父親にスタイリストになりたいと告げて、進学しないで一緒に上京すると告げる。
賛成する中島と、反対しながら途方に暮れる母親と祖母。居候の松木が立ち上がって、娘に声を荒らげる。
「僕がお父さんやったら、なぐっているところだ。愛媛大学にいって、観光を学んで、故郷を活性化しようという夢をもっていたじゃあなかったか。夢を捨てるのか」
松木がこの集落にやってきたのは、自らが経営する会社が倒産して、従業員に支払う給与の資金もなくなって、夜逃げ同然の体で放浪してきた末のことだった。
中島を誘って、暗い夜道を散歩しながら、松木は自分の人生を語るのだった。
妻と松木の関係を疑った中島は、家族と松木がともに農作業に取り組んだり、話し合ったりする光景をみるうちに、家族とはなにかという、いままで置き去りにしていた問題に突き当たる。
母親の菊子が嫁の初子にいう。
「あんたと新作が結婚して、あんたと家族になれた。これからも家族でいたい。いずれ孫も家を出ていく。不思議なもんじゃね、この家は他人同士の家族になる」
菊子と初子、そして居候の松木が、中島をだます。菊子が痴ほう症であると。中島は妻が離婚届の準備をしていることも知る。妻と松木に男女の感情はないことも。
菊子が中島を息子と認識できないしぐさが、演技であることを家族が告げて、ドラマは大団円に向かう。家族を大事にすることを中島は誓う。