2024年4月19日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年7月29日

 論説は、国営企業のうち非生産的なものは既に閉鎖されて、今では、国営企業に問題はないかのように言っています。しかし、多くの国営企業が非能率的で、生産設備の過剰を抱えていることは事実のようであり、論説の記述は楽観的に過ぎます。

 過剰融資の問題については、中国の新指導部が問題を認識し是正を宣言したと言っていますが、金融当局の目の届かない、いわゆる「影の銀行」の融資残高は巨額に上ります。米国の著名な投資家ジョージ・ソロスは、米国のサブプライムローン問題に似ていると言い、さる日本の経済評論家は、かつて一斉に破綻した日本の「住専」のようだと言ったと報じられ、いずれもその深刻さを指摘しています。

 論説は、中国経済は多くの弱点を抱えつつも崩壊はしない、と言っていますが、弱点の深刻さを論じておらず、いささかバランスを欠いています。中国経済の抱える深刻な問題がもたらしうる混乱に、もっと注意する必要があります。

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