2024年12月23日(月)

経済の常識 VS 政策の非常識

2023年5月9日

 日本の経済低迷は当然の事実と思っていたが、そうではないという議論もある。それによると、1990年以降の成長率の低下は先進国共通で日本だけのことではない、日本の国内総生産(GDP)が低迷しているのは人口が減少しているからで労働時間当たりの実質GDP、すなわち労働生産性にすればそれほど低くはないというのである(例えば、門間一夫『日本経済の見えない真実 低成長・低金利の「出口」はあるか』92頁「生産性上昇率は欧米も低い」、日経BP、2022年)。

(coffeekai/gettyimages)

 確かに主要国(G7+韓国)の労働生産性(労働時間当たりの実質購買力平価GDP、2015年ドル)の成長率を見ると表1のようである。1990年から2021年の年平均成長率は、カナダ1.2%、フランス1.1%、ドイツ1.3%、イタリア0.6%、日本1.3%、韓国4.5%、英国1.3%、米国1.6%となり、先進国の中ではドイツ、英国に並び低いとは言えない。

 韓国よりはかなり低いが、1990年代の韓国は先進国とは言えない。韓国の1人当たりGDPが3.5万ドル(実質購買力平価GDP、2015年価格、OECD Stat, Annual National Account, Gros Domestic Product)を超えたのは2012年のことである。


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