2024年12月23日(月)

経済の常識 VS 政策の非常識

2023年4月14日

 人口減少が大問題になって、政府は異次元の政策という、これまでとあまり代わり映えのしない政策を打ち出すようだ。しかし、問題は人口よりも一人当たりの所得が伸びていないことではないか。

(erenmotion/DigtialStorm/gettyimages)

日本の所得は増えていない

 図1は日本の1人当たり実質購買力平価国内総生産(GDP)(2017年国際ドル)の推移を、アジアの主要国とともに示したものである。ここでアジアの主要国としているのは、中国、インド、韓国、台湾、東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国(インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス)である。

 図に見るように、日本の1人当たりGDPは1990年以降、ほとんど伸びていない。一方、シンガポールは驚異的な伸びを示して2022年で12.5万ドルである(日本は4.5万ドル)。

 ブルネイは8.3万ドルという高いレベルから徐々に減少するという特異な動きをしている。天然ガスの富をわずかな人口(2022年で43万人)で分け合って豊かなのだが、人口が増えれば1人当たりは縮小する。直近の増加は、エネルギー価格の世界的な高騰によるものである。

 シンガポールの所得が高すぎて他の国が分かりにくくなるので、シンガポールとブルネイを除いて示したのが図2である。図に見るように、日本が停滞している間に、台湾、韓国が日本を追い越している。

 マレーシアもかなりの勢いで日本に近づいている。タイは日本ほどではないが停滞しており、日本に追いつくのはかなり時間がかかりそうである。その下では、中国が急速に伸びている。


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