人口が問題だとされているのだが、国力という観点でも、国力の基本は1人当たりGDP×人口ではないか。人口が増えなくても1人当たりGDPが増えれば国力は維持できる。年金も維持できる。高齢者が働いていたころの水準を維持するのは、成長があれば容易になる。
国防の観点からも、ドローン兵器の活躍を見れば、かなりの部分を人口ではなく技術力でカバーできるのではないか。技術の基礎は経済力である。
台湾が日本を追い越したのは2009年である。09年から、日本が台湾と同じだけの成長をしていれば、日本の22年の1人当たりのGDPは5.9万ドルとなっている。現実の4.5万ドルの1.3倍だ。税収も1.3倍以上になることになる。
もちろん、民間の給与も1.3倍になっているのだから公務員賃金も上げないといけない。税収が増えれば増やさないといけない支出もあるので、全部が財政赤字の減少には使えないが、財政も大きく改善するだろう。
アジア諸国と人口推移を比較すると
次に人口を見てみよう。図3は、2027年までの予測を含めた人口を示している。国際通貨基金(IMF)は1人当たりGDPでも27年までの予測をしているが、こちらは当てにならないと考えて22年までとした。人口の場合は、ある程度は当てになると考えられる。
アジアの中ではインドと中国の人口が圧倒的なので、両者は右目盛りにしている。ここで中国も人口が減少し、23年ではインドが世界一の人口を有している。
両者を除くと、インドネシアが人口大国なのが分かる。ここでも日本の人口が減少し、フィリピン、ベトナムの人口が増加している。
人口が相対的に少ない国の動きが分かりにくいので、27年で人口6000万以上の国、インド、中国、インドネシア、日本、フィリピン、ベトナム、タイを除いたのが図4である。図を見ると、韓国も台湾も人口が減少することが分かる。韓国や台湾の人口の動きを見ると、人口が減っても1人当たりGDPが減る訳ではないことが良く分かる。