2024年4月20日(土)

World Energy Watch

2023年2月14日

 少子化問題が注目されている。児童手当の増額、家庭への課税方法の変更などが話題になっているが、収入が増えることが少子化対策としてもっとも重要なことの一つだろう。 

 結婚している家庭の平均子供数は2人に近い(15年1.94人)のに、少子化が大きく進む理由は結婚しない人が増えているからだ。

 一度も結婚したことがない50歳男性の比率は、2020年が28.3%。女性は17.8%だ。1970年のそれぞれ1.7%、3.3%から大きく増加した。結婚しない大きな理由の一つは「お金がない」。だから、収入増が重要だ。

(24K-Production/gettyimages)

 そんな中で、実質賃金が2年ぶりにマイナスになった。物価上昇に給与が追い付いていない状況だ。賃上げには経済成長が必要なので、政府が進めているのが脱炭素を実現しながら経済成長を図るGX(グリーントランスフォーメーション)だ。

 脱炭素を進めると、化石燃料依存度が減少し自給率も向上するのでエネルギー安全保障にも寄与することになる。政府は2月10日に「GX実現に向けた基本方針」を閣議決定し、これから関連法案が国会に提出される。

 10年間で150兆円超の脱炭素に向けた投資が想定されている。国が20兆円を先行投資し(「何に使うの?突如掲げた脱炭素への新国債20兆円」)、民間が10年間に130兆円を投じる計画だ。

 20兆円については政府がGX経済移行債を創出し、発行する予定だが、移行債の償還は後に民間企業が支払う炭素についた価格(今後導入される炭素税と二酸化炭素(CO2)の排出枠価格)で行われる。政府が民間からの支出に先立ち20兆円を建て替え脱炭素に先行投資する形だ。実質的には民間が150兆円全額を負担する。

 大きな疑問は、民間企業が130兆円を10年間に投資できるかどうかにある。GXは経済成長、給与増にも資するのだろうか。少子化は止まるのだろうか。

GXで何をするの

 政府はGXの対象として4分野を挙げている。まず徹底した省エネだ。住宅、鉄鋼、自動車産業などでの省エネ推進である。

 次いで再生可能エネルギー(再エネ)導入だ。2030年度の再エネ比率36%から38%に向け送電系統の整備、洋上風力拡大が行われる。

 3番目に原子力の活用だ。廃炉を決定した敷地内での次世代型革新炉への建て替え、既存原発の停止期間の追加的な延長が行われる。最後に、水素・アンモニア導入への支援制度、蓄電池、カーボンリサイクル燃料などへの支援が謳われている。


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