2022年9月30日(金)

World Energy Watch

2022年6月16日

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 脱炭素社会の実現に向けた産業振興のため、岸田文雄首相が新たな国債「GX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債(仮称)」を発行する方針を表明した。20兆円規模の資金を確保して民間資金を呼び込むとしているが、GX推進を話し合う委員からは「全く議論されていない数字」という声も聞こえてくる。実際、GXとは何で、いかなる事業に多額な予算がつぎ込まれるのか。経済産業省のグリーントランスフォーメーション推進小委員会の資料や新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画(案)を基に紐解いてみたい。

(metamorworks/gettyimages)

突如出てきた「20兆円」という数字

 政府は、脱炭素社会を進めるために今後10年間で官民合わせて150兆円の投資が必要であると試算。これに対し、岸田首相は5月19日に首相官邸で開かれた「クリーンエネルギー戦略」に関する有識者懇談会で「20兆円ともいわれている必要な政府資金をGX経済公債、これは仮称ではありますが、これを先行して調達し、速やかに投資支援に回していくことと一体で検討してまいります」と明らかにした。

 脱炭素に移行するための投資といった使い道を限定する国債を発行し、必要とされる150兆円の一部を補填するとともに、民間投資の呼び水としている。今年夏にGX実行会議を設置し、議論を深めていく方針という。

 官民一体となって脱炭素という目標にまい進していくものと見えるが、この20兆円という数字について経済産業省のグリーントランスフォーメーション推進小委員会の1人は「議論してできあがった数字のように発表されているが、委員会では議論すらされていない。20兆円という数字を見て驚いた」と話す。実際、同じタイミングでまとめられた「クリーンエネルギー戦略 中間整理」では、10年間で150兆円の投資が必要であることは盛り込まれているものの、「脱炭素投資の一部を支援」と記載してあるのみで、「20兆円」いう数字は見られない。

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