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Wedge OPINION

2022年1月25日

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海江田秀志 (かいえだ・ひでし)

電力中央研究所 研究アドバイザー

東京工業大学特任教授、日本地熱学会会長を兼務。工学博士。1982年に一般財団法人電力中央研究所地球工学研究所へ入所。米国ロスアラモス国立研究所派遣研究員、物理探査学会理事などを歴任。

脱炭素の議論が加速する中、日本では、欧州に倣い、太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーに熱い視線が注がれている。だが、島国・日本の地理的特性を考えれば、欧州とはまったく異なる現実がある。「Wedge」2022年2月号に掲載され、好評を博した記事の内容を一部、限定公開いたします。全文は、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。
松川地熱発電所(岩手県)は、運転開始から50年以上もの間、安定稼働を続けている (AFLO)

 脱炭素への取り組みは世界共通の重要課題であり、2021年11月に閉幕した国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では、石炭火力発電の段階的削減や気温上昇抑制が盛り込まれた「グラスゴー気候合意」が採択され、その対応策として多くの国で再生可能エネルギーの導入が進められている。わが国でも「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けて、固定価格買取制度(FIT)などにより、太陽光発電や風力発電の導入が急速に進んでいるが、一方で日照や気象による出力変動に対応する電力需給のバランス調整や、FITの賦課金負担の問題なども生じている。

 同じく二酸化炭素(CO2)排出の少ない地熱発電は、太陽光、風力と比較して発電出力が安定しており、火山活動が活発なわが国には資源が豊富に存在する再生可能エネルギーである。加えて、発電のために地下から汲み上げた熱水を地域暖房や農漁業などの地域振興に二次利用できることも特徴だ。

 21年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画では、現在年間59・3万キロワット(以下、kW)にとどまる地熱の導入量を、今後の政策強化によって30年に148万kWの導入を見込み、開発リスクの低減や技術開発のための予算の確保、および支援策を実施している。また、環境省でも21年4月に「地熱開発加速化プラン」を公表し、地熱発電施設の数を30年までに倍増(約60→120施設)させる目標を設定し、開発促進区域の指定および自然公園法や温泉法などの運用見直しによる許可手続きの迅速化などの支援策を施している。

日本における
地熱開発の歩み

 再生可能エネルギーが注目される以前からわが国では発電に地熱を用いる取り組みが進められてきた。1966年に岩手県の松川地熱発電所が出力9500kWで運転を開始し、50年以上安定した運転が行われている。80年代には国のサンシャイン計画などの支援により多くの地熱発電所が建設され、96年には国内の総発電設備容量が50万kWに達した。しかし、その後景気の低迷や国の支援の低下などにより地熱発電所の建設は20年以上滞った。そして、東日本大震災後の国のエネルギー政策の見直しにより、再び地熱発電所の建設が進められることとなった。

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Wedge 2022年2月号より
テクノロジーの新潮流 変革のチャンスをつかめ
テクノロジーの新潮流 変革のチャンスをつかめ

メタバース、自律型ロボット─。世界では次々と新しいテクノロジーが誕生している。日本でも既存技術を有効活用し、GAFAなどに対抗すべく、世界で主導権を握ろうとする動きもある。意外に思えるかもしれないが、かつて日本で隆盛したSF小説や漫画にヒントが隠れていたりもする。テクノロジーの新潮流が見えてきた中で、人類はこの変革のチャンスをどのように生かしていくべきか考える。

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