2022年8月8日(月)

World Energy Watch

2022年6月16日

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手段のみしか見えてこない戦略

 では、どのように実現するのかという部分だが、クリーンエネルギー戦略の中間整理は「5本の柱」を示している。それは、①予算措置、②規制・制度的措置、③金融パッケージ、④GXリーグの段階的発展、⑤グローバル戦略(アジア・ゼロエミ共同体構想等)である。④のGXリーグとは、経産省が旗振り役となり、日本を代表する企業が手を取り合い未来像や市場の創造、ルールメイクを議論しながらCO₂の削減などを進めていくもの。したがって、5本の柱はすべて、〝手段〟でしかなく、中身が見えていないのだ。

 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画においても、この「5本の柱」が掲げられている。具体的な取り組み例として、「水素・アンモニア」「洋上風力等の再生可能エネルギー」「CCS(CO₂回収・貯留)」「カーボンリサイクル」「自動車」「住宅・建築物」「省電力性能に優れた半導体」「蓄電池」「その他産業部門の脱炭素化」「地域・くらしの脱炭素化」と多岐にわたっているが、ここにも国としての方針は示されていない。

 投資するという場合には、「目的のために必要なものは何で、それをするためにはこれだけのお金がかかるが、達成できれば投資額以上のメリットを出せる」という考えを持ち、検討するのが正しいやり方ではないのだろうか。金額とやり方だけをまず決めるというのは疑問でしかない。これが新しい資本主義の目玉の一つとなっているのならば、「数合わせの議論」にだけはなって欲しくない。

 
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