2024年11月22日(金)

有機農家対談 「ぼくたちの農業」

2013年8月2日

 でも最近はなるべく見ないようにしています。テントウムシを見つけると、ついアブラムシのいるところまで連れていきたくなる(笑)。それは作業的にはものすごいロスになってしまうので。

 虫については、ぼくはすごいあまのじゃくなんです。同じように虫を使って栽培している農家もいますけど、すごくかわいそうな使い方をするんですよ。たとえばハチをイチゴのハウスに入れて、こき使って死なせてしまうんですよね。だから毎年買わなくちゃいけない。一箱何万円もするんですよ。

 ハチの習性がわかればそんなことをする必要はないのに、業者まかせでやっているからそうなる。そんなやり方で箱に「天敵農法」と印刷して野菜を出荷する人もいます。天敵を入れさえすれば「環境にやさしい天敵農法」になってしまう、そこにすごい違和感があります。

 ぼくも昔は虫を買ってハウスに放り込んで、死んでしまうからまた買うという繰り返しをしていたんですけど、今はそういうやり方じゃなくて、地場にいる昆虫を使う。

ソラマメにつくアブラムシを解説。この知見がどのように栽培に生かされているかは不明。

 かといってこっちの都合で捕まえて集めるのもそれもかわいそうだし大変だから、たとえばハウスのなかにソラマメを植えて、そこにアブラムシに住んでもらうようにする。ソラマメならアブラムシにたかられても実害がない。よく見るとソラマメには4種類のアブラムシがつくんですね。そんなこともわかってきました。

久松:愛護精神だけから「かわいそうだ」と言っているわけじゃなさそうですよね。虫を使い捨てている人を見た時に湧き上がる感情というのは「ヘッタクソだなあ」とか「金のムダだなあ」とかなんですか?

小川:そうですね。「金のムダ」ですね(笑)。ぼくもそれが最終的には生産に結びついてくるからやる、ということで、虫が好きというだけではそんなことはしません。

久松:うんうん。

小川:なんでそこまで業者まかせにするんだろう。自分で考えれば知識や経験もつくはずなのに。昆虫に限らず農薬や肥料もそうです。あらゆる資材について農家はもっと知識を持たなければいけないのに、人任せにしてしまう。

久松:なるほど。たとえば業者が自分の栽培方法にあった苗を供給してくれて、それを使ったほうがコストも労力も合理的になるのなら、苗を買うことに抵抗はないわけでしょ?

小川:そうですね。


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