2024年11月24日(日)

有機農家対談 「ぼくたちの農業」

2013年8月2日

 これは大規模トマト農家にはできないことなんです。面倒くさくて手を出さないですよ。だから手つかずのマーケットでもあるんです。でも、「地元の野菜を使っています」といったこととはむしろ逆の方向性で、これは「小川の野菜」「久松の野菜」なんですよ。総花的にやってしまうとまったく面白くない。

 口コミで広がっていくマーケティングは、キーになる顧客を見つけることが大事で、そこから広がっていく。キーをどうやって探すかが勝負ですけど、キーとしての飲食店にはものすごい発信力がある。そういう意味では戦略的に使っていかなくてはいけない。

 ぼくはいま何軒かの飲食店とがっつり組ませてもらっていて、彼らは「この店を使い倒してくれ。そのかわりぼくらも久松さんをしゃぶり尽くすから」と言ってくれます。この関係は飲食店だけじゃなくて、小売りだっていいですよね。

ビオバウアーは天敵農法が嫌い?

小川:いまは栽培がいちばん楽しいですね。去年までは販売が楽しくて、お客さんやレストランとの会話で新しい情報をもらって、逆にこちらからも情報提供するのがいちばんの喜びでした。でも販売に力をいれていると「ああ、畑にどっぷり浸かりたい」という気持ちが湧いてきて、いまは畑にどっぷり浸かって「さてマイクロトマトをどうやって作ろうかなあ、ほおずきトマトは…」などと考えています。

 栽培、販売、営業と、ずっと同じペースでバランスよくはできないみたいですね。ぼくは久松さんみたいに広いアンテナをもっていないからもともと多くのことはできないんですけど……いまは自分のなかで蜂がブームなんですよ。

久松:ずっとブームだろ!(笑)

ファーム小川のニホンミツバチ。アシナガバチやクマバチも巣を作り、営農に参加?している。

小川:このあいだまではニホンミツバチだったんですけど、今年はアシナガバチ。あと、スズメバチにも惹かれます。なんとかして飼いならせないかな、と。

久松:今のところ野菜よりも虫を語るほうが生き生きとしてるよね(笑)。

小川:虫を見ていても、家族には一生懸命野菜の世話をしているように見えるからいいんですよね(笑)。

 でも相手が植物であれ虫であれ、気づかなくちゃいけないんですよ。ただ畑を歩いているだけじゃ通りすぎてしまう。でもそこに特定の虫がいるのには、何らかの理由がある。異常の兆候の場合もある。虫を見るのは野菜の状態を見ることでもあるんです。


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