久松:「全部自分でやりたい」ということではないですよね。だから合理性に基づいた「ビオバウアー」なんですね。
小川:合理性がないと趣味になっちゃうので。
久松:うーん、いいですねー。
小川:でも、ズレているところは絶対にあると思います。試しに栽培するだけならほんの少量やればいいのに、つい何種類もたくさん植えてしまう。やりたくなったらやっちゃうんですよね。
そこは合理性にもっていきたいんですけど、ナスもトマトも定植が間に合わなくなって「これ合理性ないなあ」というのが今年の状態でした。来年はもうちょっと、どうにかします(笑)。
でもまずはやってみて、一回どん底を体験したほうがよくわかるんですよね。経営に響くような量だったら問題ですけど、そうでなければ一回経験してみて、ゼロから積み上げていく。ちょっとずつでもレベルが上がっていって、良くなる幅が大きくなってくればやる気が出るんですよね。
新しい品目は、最初の年はそんな感じです。でも翌年はきっちりと合理性に落としていく、と思いつつ、一度あることは二度、三度あったりしますけどね(笑)。
久松:奥さんの意見も聞いてみたいよね。「あの人がやっているのは趣味です!」とか(笑)。
小川幸夫(おがわ・ゆきお)
1974年千葉県生まれ。ファーム小川代表。自称ビオバウアー、人呼んで農業界のムシキング。慶應大学経済学部卒業後、農業機械メーカーを経て、柏市にある実家の農場を継いで就農。約1.2haの畑でトマトやナス、イチゴやブルーベリーなど100種類以上の品目を栽培する。新しい品種、環境負荷の小さな栽培法を求めて農場で実験と実践を繰り返す研究家。
久松達央(ひさまつ・たつおう)
1970年茨城県生まれ。久松農園(http://hisamatsufarm.com/)代表。慶応大学経済学部卒業後、帝人に入社。98年に退社後、1年間の農業研修を経て99年に土浦市で独立就農。年間50品目以上の旬の有機野菜を栽培し、会員消費者と都内の飲食店に直接販売している。ビデオブログやSNSを駆使しての情報発信や講演活動も旺盛に行う。9月14日に『キレイゴトぬきの農業論』(新潮新書)を出版予定。
*第4回(8月5日公開予定)へ続く
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