2024年2月25日(日)

有機農家対談 「ぼくたちの農業」

2013年8月5日

 もうちょっとポップにできないのかな、と思っていました。面倒くさい思想性は第一世代の薫陶を受けたぼくらの世代までで終わりにして、もっと若い世代は純粋技術としての有機農業をつまみ食いしていったらいいじゃないかと思っていましたね。実際にそういう若い人はどんどん入ってきています。

 でもね、若い世代には物足りない部分もあるんだよね。第一世代のいいところは、包み隠さずなんでも教えてくれるところ。いま考えると大した技術じゃなかったりするんだけど(笑)、それまで誰もやっていなかったんだから当然ですよね。でも若手世代は新人でもわりと隠そうとする。けっこう利己的だったりするんですよ。

 よく考えると、第一世代は有機農業を世界に広めようとしていたんですよね。間違った知識であっても、ミッションがあったから誰にでも教えた。ミッションを失うと、技術を隠す方向にいってしまうんだ、と最近になって気がついたんです。しかも小川さんがさっき言ったように、大事に隠しておくほどのものでもなかったりする(笑)。誰かに聞いた口コミや、俺のブログで仕入れた知識を隠してみても、未来がないよ。でも、しかたないのかもしれない。だから第一世代のもっていた志向を否定できない部分があるんです。

 ただ第一世代はお金の話に忌避感が強すぎて、「ビジネス」と口にした瞬間にドアを閉められそうなところがある。そこは付き合いづらいですね。

 そもそも「有機農業の時代」ってあったのか? と思うんですよね。売れた時期もあったけど、それは希少価値だったと思うんですよ。作品価値と希少価値って違うでしょう?

 「昔の消費者は理解が深かったから、電車を乗り継いででも買いにきたものだ」とか彼らは言うんですけど、そうじゃないと思う。ほかになかったんですよ。

 今はJASマークが貼ってある有機野菜はどこでも、ネットでも買える。通販業者にシェアは握られていますけど。

久松農園のキヌサヤエンドウ。一般に流通しているものよりも大ぶりで、味が濃い。

 ぼくは今でも有機農業をやってるけど、正直に言えば、手法として切り離せない「有機」と、もう切り離してもいい「有機」があります。特定の品目だけ有機をやめるというように器用に、技術的にできないというだけです。お客さんへの説明が面倒くさいということもある(笑)。

 つくづく感じるのは、有機が合理的じゃない場面がたくさんあるということなんです。どうしても農薬ゼロじゃなきゃいけないとか、そういうこだわりは年々小さくなっています。


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