2024年12月11日(水)

有機農家対談 「ぼくたちの農業」

2013年8月5日

小川:柏だけで飲食店が約1000軒あるらしいですね。組合に入っていない店もあるので実際はそれ以上あるはずです。それだけあれば、「ここには出したい」と思うお店はいっぱいあるんですよね。

 「地産地消」はぼくにとってはあまりいい言葉じゃなくて、それで料理がおいしくなるわけではないですよね? でも地元で売れなければ、地元以外でも売れないとも思います。

 柏市はカブの生産が全国1位ですけど、地元ではカブを扱う店があまりないんです。料理しにくいというのもあるんですけど、柏の農家って、地元の飲食店をあまり相手にしていない。全国に売って産地のブランド力をどんどん上げて、高く買ってもらいたいのですね。

 でも少量多品目でやっている農家は、やっぱり地元に根ざしますね。地元で発信してから外に出て行こうという順番ですね。

久松:良い時代を経験しちゃった人たちには、「柏のカブ」ブランドでドーンと売りたいという気持ちがあるんでしょうね。

 小川さんはなんで個人宅配をやりたいと思っているんですか?

小川:いま一人だけ個人宅配しているんですよ。

久松:一人だけって、それも逆にすごいね(笑)。

小川:個人宅配で気が重いのは送る野菜を箱詰めするときですよね。あまり野菜が採れない時期でも定期的に出さなくてはいけない。つい相手の好き嫌い関係なく、たくさんあるものを入れたくなったりしちゃう。でもこれ食べるのかな? なんて考えていると時間ばっかり経ってしまって、自分には向いてないなと思っていたんですよ。

 でも、いま買ってくれている人は鎌倉の人なんです。実家が柏で、帰省したときにたまたま食べて畑まできてくれたんですよね。「以前住んでいたニューヨークではいい野菜が買えたんだけど、日本じゃなかなか買えない。宅配できますか?」と言われて、こっちも本気になっちゃったんですよね。「鎌倉野菜があるじゃないですか」「いや、小川さんから買いたいです」と言ってくれて。こういうお客様にならやってみたいな、と思うようになってきました。手広くやることはまったく考えていなくて、理解のある人に限定的にやれたらいいな、と。


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