2023年6月5日(月)

BBC News

2023年5月26日

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ロシア西部ベルゴロド州にウクライナから侵入し、攻撃をしたとするロシア人の準軍事集団のトップが24日、今後も同様の襲撃を繰り返すと表明した。

準軍事集団「ロシア義勇軍団」と「自由ロシア軍」は22日、ベルゴロド州を襲撃したと主張した。

「ロシア義勇軍団」を率いるデニス・カプースチン氏は、ロシア国境付近のウクライナ側で記者団に、「私たちは(襲撃の)結果に満足している」、「向こう側でまた私たちの姿を見ることになるだろう」と話した。

ロシアは今回の襲撃について、侵入してきた破壊工作員らを撃退し、70人以上を殺害したと説明。セルゲイ・ショイグ国防相は、今後の侵入には「厳しく対応」すると宣言した。

ウクライナはこの襲撃への関与を否定している。

カプースチン氏は、「ホワイト・レックス」の通称でも呼ばれる。ロシアの民族主義者として知られ、率いるグループは単一民族のロシア国家を望むと公言している。

22日の襲撃については、ロシア領に24時間とどまり、離れる前に装甲兵員輸送車など「いくつかの兵器」を奪い、捕虜を得たと記者団に話した。

また、戦闘員2人が負傷したとし、破壊工作員に大きな犠牲が出たとするロシア軍の主張を否定した。

一方、「自由ロシア軍」は、戦闘員2人が死亡し、10人がけがを負ったとした。

戦闘をめぐる死傷者数については、独立した検証がなされていない。

反プーチン政権の準軍事団体

カプースチン氏はまた、西側同盟国がウクライナに提供した武器を「ロシア義勇軍団」の戦闘員が使っているとの報道を否定した。

ロシアは「ロシア義勇軍団」と「自由ロシア軍」について、ウクライナの武装勢力だとしている。一方、ウクライナは、両集団を反ロシア政府の準軍事組織と呼んでいる。

両集団とも、ロシアのウラジーミル・プーチン政権を解体したいと主張。過去には、ウクライナの領土防衛を支援する国際的な軍団の一部だと呼ばれている。

カプースチン氏は、「ロシア義勇軍団」はウクライナから医療品、ガソリン、食料の支援しか受けていないと述べた。

「ロシア義勇軍団」は今年3月、ロシアのブリャンスク州での国境を越えた襲撃に加わり、注目を浴びた。

集団内にネオナチがいるとされることについて問われると、カプースチン氏は、「すべては認識の問題だ」と答えた。そして、自らは「伝統主義」で「愛国的」な考えの持ち主だと述べた。

ウクライナの調査サイトは2020年、カプースチン氏がネオナチ集団とつながりがあると伝えた。また、過去にサッカーのフーリガン運動に加わっていたと発言していたとした。

ロシアのショイグ国防相は24日、「70人以上のウクライナの民族主義者」を殺害し、残りはウクライナに押し戻したとロシア軍関係者に説明。

「ウクライナの戦闘員によるこのような行動には、今後も迅速かつ極めて厳しく対応していく」と付け加えた。

ロシア側は、この侵攻で民間人が数人負傷したとしている。


ロシアは、ベルゴロド州の戦闘があった場所で破壊されたみられるアメリカ製車両の写真を掲載した。だが、ウクライナの軍事専門家やブロガーは、演出された可能性があるとしている。

アメリカは、自国が供与した兵器が今回の侵攻に使用されたとの報告について、真実なのか疑わしいとした。また、「ロシア国内での攻撃を奨励したり可能にしたり」することはないとした。

一方、ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は、この車両は西側諸国がウクライナへの軍事的関与を強めている証拠だと述べた。

(英語記事 Paramilitary group vows more Russia incursions

提供元:https://www.bbc.com/japanese/65717694


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