2024年4月25日(木)

山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2013年9月10日

 海外に出た日本人は数多くいるが、天野さんほど多くの仕事を残された日本人は、後にも先にも珍しい。南米でも国ごとに違う挑戦をしたところが、スケールの大きいところである。これを天野さんは「一国一業主義」と呼んでいる。

 考えてみれば人生やりたいことはいっぱいあっても、限られた時間軸の中で違う分野で偉業を残すことは、我々凡人にはできないことである。

 天野さんは、戦後ペルーに戻り、捲土重来で、魚粉のビジネスに賭けて大儲けをした。こうした逆境での強さが、今の日本人には見られない。インカの秘宝に憧れるのも、こうした遺跡のお宝を探し出す野望も稚気溢れる大器の為せる業である。

 天野さんのように自発的に海外で挑戦する日本人は、今も昔もいる。しかし、戦前の日本がそうであったように、好む、好まざるに関係なく、近い将来、日本人は再び外国に「出稼ぎ」に出ざるを得ないように思える。

 「そんな馬鹿な!?」と思う人もいるだろうが、危機感がないことほどの危機はないと思う。

 日本人は今こそ山っ気を持って蛮勇を振るうべきだ。南極探検の西堀榮三郎さんが「石橋を叩けば渡れない」といっているように、石橋を叩くだけで終わってしまう日本人がこのところ増えたように思えて仕方がない。

*関連記事:
「一度はCIAに刺されるも、復活した南米の日本人大実業家 アンデスの考古学に捧げた人生」
天野博物館で勤務した経験を持つ高山憲二さん(元三井金属ワンサラ鉱山勤務)のインタビュー。天野さんの素顔に迫ります。

◆WEDGE2013年9月号より

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