愛犬に長生きしてほしい、がんを早期発見したい――と願ってはいても、高額な上にリスクが伴う検査を受けさせるのはやはり躊躇してしまうのだ。
待望の「犬用のがん検診」登場
今年5月、こうした飼い主の切実な悩みを解決してくれる「犬用がん検診」が登場した。その名も「N-NOSE わんちゃん」。
開発・発売したのは、人間のがんを〝線虫くん〟が尿の匂いで見つける「線虫がん検査=N-NOSE(エヌノーズ)」のHIROTSUバイオサイエンス(東京都千代田区)だ。6月には、愛犬家として知られるタレントの池田美優(みちょぱ)さんと丸山桂里奈さんらが出席し、PRイベントを開催した。
「N-NOSE わんちゃん」は、同社が独自で開発した世界初の生物診断技術を使用し、自宅で犬の尿を採取して提出するだけで、犬に多いリンパ腫・乳腺がん・皮膚がんはじめ、肝臓がん、甲状腺がん、多発性骨髄腫、肉腫、骨腫瘍、尿路上皮がん、脳腫瘍といったさまざまながんリスクを高い精度で調べることができる。
検査キットには、簡単に採尿できる専用のシートと採尿カップ、スポイトがついてくる。検査価格は、お試し1回検査コースが1万9800円(税込)/1回、定期検査コースが1万6800円(税込)/1回。結果は尿の提出後、約4~6週間後に郵送とWEBサイトから登録するマイページで教えてくれる。
CT、MRIに比べれば安価ではあるので、早期発見のためのスクリーニングとして使いたい飼い主は多いだろう。何より、自宅に居ながら、ペットに一切のストレスを与えずにがんリスクを調べられるのはありがたい。
「N-NOSE わんちゃんは、尿を採取するだけで簡単に検査が出来るため、犬の身体的負担がありません。料金も手軽なため、この検査を定期的に受け、がんの早期発見に備えれば、万が一癌が見つかったとしても治療の選択肢を探り、命を落とす可能性を減らせるのではないでしょうか」
イベントの第一部に登壇した、同社の執行役員COOの鈴木彬氏は語った。
動物病院とも提携
ただ、「N-NOSE わんちゃん」の斬新さは、これだけではない。
「犬用がん検診」という新たなカテゴリーを普及・定着させるには、入口にあたるN-NOSE検査のサポートから出口にあたる精密検査と診断、その先の治療……まで。ペットのための切れ目のない医療ケアシステムが必要だ。
そのためにHIROTSUバイオサイエンスは、動物病院大手の「アニコムどうぶつ病院グループ(本社:東京都新宿区)」並びに「イオンペット(本社:千葉県市川市)」と提携し、スタート早々から全国規模の包括的な検診体制を構築して「犬用がん検診」を売り出した。