アニコムどうぶつ病院グループは、「N-NOSE わんちゃん」を取り扱うことによって、自宅採尿が難しくても動物病院で採取した尿をそのまま検査会社へ提出できるようにするなど、飼い主にとってのハードルを下げた。さらに、万が一検査によって高リスクと判定された場合には、病院での詳しい検査や経過観察を行う。
イオンペットもまた、運営する動物病院で実施しているペットの定期健康診断「ペットドック」のコースに、「N-NOSE わんちゃん」の検査を含んだ新コースを設けた。がんの検査をより身近に受けることが出来る環境を整える。
両社との提携により、「N-NOSE わんちゃん」を取り扱う動物病院は既に、全国100施設を超えるが、HIROTSUバイオサイエンスは今後も提携先を増やし、近々に300施設を達成する予定だ。
飼い主にできる「セルフチェック」
早期発見のために、飼い主も日頃から心がけたいことがある。それは愛犬のボディチェックだ。特に、犬に多いリンパ腫・乳腺がん・皮膚がんは、体表に腫れやしこりがみられるため、比較的見つけやすい。
PRイベントの第二部に登壇し、みちょぱさんや丸山さんらとトークセッションを行った獣医師の高柳信子さん(コンパニオン・アニマル・センター センター長)は次のようにアドバイスする。
「体表にできるがんは、飼い主さんが触ったり、シャンプーをしたりする際、しこりなどで気づくことができます。大きさや、そのしこりがどの程度の期間にどれくらい大きくなるか、形は不整形かなどに気を付けてみてください」
短期間で徐々に大きくなっていたり、硬く、不規則な形をしていたりするようであれば、早めに動物病院を受診したほうがいいという。
可愛がっている愛犬とはいえ、飼い主は意外と体のこまかいことまでは知らないようだ。たとえば高柳さんの次の質問に、会場はどよめいた。
「皆さんは、わんちゃんの乳首はいくつあるか知っていますか」
答えは10個。お乳を生産する乳腺は縦長に2つあり、この乳腺に沿って左右に乳首が5個ずつ、計10個の乳首がある。ただし、これより多い場合もあれば少ない場合もある。
大切なのは、愛犬の元気なときの状態を知っておくこと。日常的に触れていれば、小さな異変にも気づくことができるので、マッサージも兼ねて日々触れるようにしたい。
「シニア犬の場合、少なくとも半年~1年に一回は健康診断の受診をお勧めしています。シニアになってくると(病気などの異変が)見つかることも多いので、なるべく早期発見が良いと思います。」
イヌネコ専用活動量計を販売するPetVoice(東京都中央区)の調査によると、「ペットの健康に対して日頃から意識をして飼育をしている」飼い主は9割以上に上り、そのうち27%が具体的な取り組みとして、「健康診断を定期的に受診するようにしている」と回答している。同じく、獣医師を対象とした調査では、約90%が「飼い主が病気に気付いて動物病院に連れてきた時には既に手遅れになっている」と回答した。
ペットを、わが子以上に愛しいと考える飼い主は少なくない。人間の検診受診率は先進国中最低クラスの日本で、ペットのがん検診受診率が人間を超す日はそう遠くないかもしれない。