――なるほど。それでは、漁獲のルール作りが重要ですね。
片野氏:しかし、そのルール作りは容易ではありません。これは本来国が主導でやらなければならない事なのですが、国はさまざまな理由で、資源管理に関する取り組みが出来ていないんです。
ただ、自治体ベースで資源管理に取り組んでいるところもあります。新潟県のエビカゴ漁がいい例です。2011年から新潟県知事のトップダウンで資源管理に取り組んでいます。漁獲量としてその効果が現れるにはまだまだこれからですが、確実に資源は回復しているので、このような成功事例を一つ一つ積み重ねていくことが大切だと思います。そうすれば、周囲からの関心も高まり、資源管理への取り組みも増えてくるでしょう。
――ところで、水産会社の一企業人である片野さんがこのように水産業の実態について社会に広く発信しようと思われたきっかけは何だったのでしょうか?
片野氏:きっかけは、子どもの夏休みの宿題ですね。子どもが中学生の頃、夏休みの宿題で、ある協会が主催する作文コンクールに応募することになりました。子どもは元々魚や釣りが好きで、私の仕事もあってか、「危機に直面している日本サバの資源」という内容で作文を書いたのですが、とても反響があり、関心の高い内容なのだと感じました。
子どもは私の話を聞いたり、三重大学准教授の勝川俊雄さんのサイトを参考にしながら、理解を深めたようです。その時に私が勝川さんのサイトに質問をしたことで、勝川さんとの交流がはじまり、そしてそこからさらに人脈も広がり、色々な場で話をする機会が増えました。
ちなみに、子どものその作文は優秀賞をいただきました(笑)。
――せっかくなので、魚のプロから見て、これから旬を迎える魚はなんでしょうか?
片野氏:そうですね、やはり青魚でしょうか。サバやサンマなどは脂が乗ってくる時期ですね。冬になれば鍋物に合う鱈などはオススメです。