また、ロシアは最近、アジア重視を口先では繰り返していますが、それはロシア東部を中国に席巻されてしまうことへの恐怖心の表れであると同時に、最大の貿易相手であるEUの経済が不振だからアジアへ、というご都合主義の側面もあります。
そして、ロシアは、大国が世界を差配するべきものと思い込んでおり、「ASEAN中心主義」がアジアにもたらしている微妙な相対主義や、日本がそのASEANと米国の間の仲介を果たしている役割の重要さを全く理解できていません。
結局のところ、ロシアは、米国からの圧力をしのぐための手段として対中「戦略パートナーシップ」関係を涵養しつつも、米露協力をちらつかせて中国を牽制するための布石を打っている、と見るのが妥当でしょう。
ロシアをアジア太平洋における重要なプレイヤーと認識し、協力できる点において協力することは結構ですが、日米露が連携して中国を封じ込める、という単純な発想に陥ることは厳に戒めるべきです。
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