私は多分、天野先生も「英雄色を好む」方だったと思います。病気をされる前まではお酒が好きだったというように、ペルーにはピスコというぶどう酒を蒸留した強い酒があります。コロンビアのアグアルデンテ、メキシコのテキーラ、キューバのロン、チリのチチャ、ブラジルのピンガとどこに行っても良い酒が楽しめます。
そして、可愛らしい娘さんはどこに行っても最高です(笑)。
3Cなどと言ってchile、columbia、costaricaは三大美女の産地とまで言われています。天野さんはいずれの国でも活躍されています。
高山:天野コレクションの一番のお宝は奥様の美代子さんだとも言われていますが、私もこれに同意します(笑)。本当に美人です。
資産に関しては、強制送還される前に知人に預けていたという話もありますが、詳しいことは分かりません。戦後は、南米に赴任する日本の外交官がまず、天野先生の所に出向いていたとい話でしたし、やはり、築かれた財産は相当のものだったのだと思います。
中村:昭和42年(1967)には、皇太子だった現天皇夫妻も博物館を訪問されていますね。
高山:これには、大変喜ばれたそうで、訪問されたのが50分間だったのですが、「この50分のために私は生きてきた」とおっしゃっていました。
中村:さすが明治人ですね。中村草田男が「降る雪や 明治は遠くになりにけり」という句を詠っていますが、明治には何か今の日本とは違うものがあったのかもしれません。
高山:天野先生は、考古学はロマンだと言われていました。特にインカ文明などは文字がないから想像力が書き立てられて余計にいいと。ナスカの地上絵は、天上の神と対話するために描いたのではないか? ともおっしゃっていました。
中村:まさに日本のシュリーマンですね。
高山:よくそのように言われるのですが、正にその通りでしょう。しかし天野先生の方が純粋にアカデミックさが強いと思います。
中村:天野さんは、人生の目的そのものが、徹底的に考古学を研究をするという好奇心を満たすことにあったのかもしれませんね。実業家も大成功したあとは、単にお金ばかり追いかけるのが馬鹿馬鹿しくなるものです。あの世までお金は持ってゆけないからね。
高山:天野先生も私がお手伝いしている頃はアンデス文明の発掘に鬼気迫るような雰囲気がありました。古代の織物を見ていると時代をワープして大昔に遊びに行けるとそのロマンを語っておられました。
中村:高山さんもアンデスの亜鉛鉱山の発展にロマンを求められたし、私もいつの日かアンデスのレアメタルを開発して天野さんのような大きなロマンを追求したいものですね。
今日はどうもありがとうございました。
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