2024年6月14日(金)

中島厚志が読み解く「激動の経済」

2009年4月8日

追い風吹くオバマ大統領

 4月末にオバマ大統領が就任して約100日を迎える。100日とは、米国で議会、世論やマスコミが就任した新大統領を温かく見守るハネムーン(蜜月)期間とされている日数である。現にオバマ大統領の支持率は就任当時の68%が足元62%(米ギャラップ社調査)と、少々下落したとはいえ高い支持率を保っている。しかし、ハネムーン期限終了後大統領は是々非々の反応に晒されることになる。しかも、大規模な経済対策を打ち出したものの厳しい経済情勢が続いており、先行き難題だらけでもある。

 なにより厳しいのは、オバマ大統領が追加対策を打てる余地が減じていることであろう。米国議会予算局(CBO)は、2009年度に予想される財政赤字は1.8兆ドル、GDP比13%に達すると推計している。これほどの財政赤字は戦後例がなく、財政赤字の一層の拡大は金利上昇やドルの脆弱化に直結しかねない。また、ビッグスリー救済やAIGの高額賞与支給問題など、市場メカニズムに任せるわけにはいかなくなって政府が企業に関与したものの、市場経済と国家管理の狭間で政府が微妙な舵取りを迫られている問題もある。

 もっとも、この1ヶ月ほどオバマ大統領への追い風が吹き始めていることも注目される。ひとつは、オバマ政権が3月に発表した金融対策への反応である。米国の主要金融機関には、サブプライム証券など多額の不良資産が保有されつづけており、その価格下落がさらなる損失額の拡大につながっている。市場で売却できれば最終的な処理が進むが、買い手が不在でその売却が進んでいない。

 そこで、求められているのが、いわゆる「バッドバンク」構想である。これは、市場機能が麻痺している中で、政府が公的な不良資産買い取り機構を設立して、金融機関から不良資産を買い上げる構想である。オバマ政権は、この金融機関から不良資産を買い上げるスキームとして官民ファンドを立ち上げ、最大1兆ドル規模で不良資産を買い上げることを発表したのである。

2月の米国住宅市場の指標は反転が見られた

 買い取り価格がきちんと決まるかといった課題はあるものの、不良資産抜本処理と金融危機収束への期待から市場の反応は好意的である。

 また、最近発表されている経済指標もオバマ政権を後押しするような内容となっている。例えば、2月の住宅着工件数(前月比+22.2%)が市場予想を大幅に上回る結果となったのをはじめ、住宅販売件数が新築一戸建て(前月比+4.7%)で7ヶ月ぶりの増加、中古住宅(+4.4%)で増加に転じている。また、4月1日に発表されたISM製造業景況指数(前月比+0.5%)も、3ヶ月連続の上昇で悪化に歯止めがかかってきた感がある。


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