障害者アスリート~越えてきた壁の数だけ強くなれた

2013年10月3日

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 その一方、中学生としての学校生活は、というと、

 「古い学校なのでバリアフリーではありません。中学校が市から介護用の車椅子を借りてくれて各階に置いてくれたんです。1階は自分の車椅子を使い、2階、3階はお借りした車椅子を使わせてもらっていました。階段を上がればそこに車椅子があるという状態です」

 2年生に上がる前に「上地のクラスだけは1階のまま」という話が学校側から持ちあがったが、特別視され、自分のクラスだけ階が上がらないことに抵抗を感じて断った。そのかわりに早めに学校に行って階段を上がった。負けず嫌いな性格もトップクラスなのである。出来ないことはクラスの仲間に手伝ってもらい、出来ることは明るく積極的に取り組んだ。テニスの才能とは別に周囲からは飾り気のない中学生らしい素顔も愛されていた。

ロンドン・パラリンピックではベスト8
今後の目標は…

 高校時代は国内大会、国際大会に転戦する日々を送った。試験と試合が重なれば試合に出場した。

 だが「テニスをやっているから進級できない」とは言われたくなかった。この負けず嫌いな性格によって、放課後の補習やレポート提出などにも時間を惜しまず、大会にも勉強道具を持っていき高校生らしく勉強にも励んだ。

 「ほとんどの時間をツアーに費やしていましたので友達にはしばらく会えません。たまに学校に行くと「上地が来てた」とか「今度はいつ帰ってくるの」みたいに言われるんです。海外に行っている間に先生が「上地はいま○○大会に出場している」とか「こんな成績を収めている」と説明してくれていたので、学年が上がるにつれて校内にもたくさんの理解者が増え、「頑張ってな」と声を掛けられたり、ロンドンオリンピック・パラリンピックの前にはサプライズで壮行会を開いてもくれました」

 2012年 高校3年生で出場したロンドンオリンピック・パラリンピックの車いすテニスの試合では、シングルス、ダブルスともにベスト8。

 今後の目標は、

 「高校を卒業したらテニスをやめようと思っていたのですが、ロンドンオリンピック・パラリンピックに出場したら、もっと続けたいと思うようになりましたし、次回のリオディジャネイロオリンピック・パラリンピックでは、テニスを楽しみながら、その上でメダルを取りたいと思っています」

 気負うことも、飾ることもなくメダルを取りに行くと口にする横顔には、世界を知るトップアスリートと少女のあどけなさがアンバランスに共存している。

 この未完の大器は2016年リオディジャネイロオリンピック・パラリンピックではどんな表情を見せるのだろうか。今から待ち遠しくてならない。


<上地結衣プロフィール>
11歳から車いすテニスをはじめる。
14歳にして国内ランキングNo.1となる。
2008年 全日本選抜車いすテニス選手権大会 初優勝
2012年 全日本選抜車いすテニス選手権大会5連覇を達成、連覇記録を更新中。
2012年 Australian Openより初めてGSに出場。
18歳にしてロンドンオリンピック・パラリンピックに出場。ベスト8
2013年 6月飯塚国際車いすテニス大会(JAPAN OPEN 2013)(ITF SS)
シングルス ダブルス優勝!
2013年 7月ウインブルドン選手権車いす部門(GS) 女子ダブルス準優勝
2013年 7月BNP Paribas Open de France(ITF SS) シングルス ダブルス優勝
2013年 9月US OPEN車いす部門 (ITF SS)女子シングルス 優勝
2013年 9月US OPEN 車いす部門(GS)女子シングルス ベスト4  女子ダブルス 準優勝
2013年 9月現在 JWTA国内女子シングルス・ダブルスランキング1位。ITF国際ランキング女子シングルス4位、ダブルス3位。(2013年9月30日付)


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