今村は研究を続けて、巨大地震の揺れを記録する地震計を開発し、全国7カ所に設置し終えたのは、関東大震災の8カ月前のことであった。それらの地震計が記録した波動は、巨大地震が初めて科学的記録となったものである。さらに、今村は、多数の死者が出る原因となった火災について、発生源と広がりの様子を研究室の研究者たちを総動員して、詳細な記録も残している。
フランスをはじめ世界各地で記録された同様の記録と、地震発生後の戒厳令のなかで、イギリス人カメラマンが隠しカメラで撮影した映像を、現代の地震科学者たちが分析する。
巨大地震発生の間隔は短くなった?
次の関東大震災の可能性はどうか。
今村は、東京湾岸や房総半島の地層の隆起に注目した。過去の巨大地震によって、隆起が階段状になっていて、その発生の年代を推定できるとした。現代の地震学者はこれまで、同様の分析によって、巨大地震は300年に1度の割合で起きていると推定していた。しかし最近の調査によると、その年月の間隔は短くなって、100年に1度と考えられるようになった。
また、プレートのひずみは、巨大地震によって、そのエネルギーが減ると考えられてきた。房総半島に西側のエネルギーは確かに、関東大震災によって減じたが、東側にひずみのエネルギーがたまっていることがわかってきた。GPSを利用して、陸地の移動を想定した結果である。このひずみが巨大地震につながると、プレートのずれの位置が陸側に近いので、地震発生から津波が襲うまでの時間が極めて短いという。
いかにして地震火災から避難するか
首都圏スペシャル「地震火災」は、関東大震災で最大の死者を出した旧本所区の陸軍被服廠(ひふくしょう)跡地を襲った、火災による熱風である旋風に焦点を当てる。人が巻き上げられて宙に飛び、熱風によって髪の毛や被服が燃え上がる地獄のような光景を体験した、90歳代の生存者の証言を紹介していく。
いかにして次の関東大震災の際に、地震火災から避難するかが、番組のテーマであった。防災学者の意見をとりまぜながら、女性タレントと視聴者から寄せられた質問に答える形で、具体策を紹介していく。