IMFは、途上国融資を拡大するため、12月15日までに増資につき決定する予定になっている。米国は、増資はするが、出資比率は変更しないとの立場であり、この米国案を日本等の主要7カ国(G7)やインドなどの新興諸国が支持しているという。
日本は現在の出資比率を維持したままの増資を「唯一の現実的な選択肢」だとし、各国の出資額を均等に1.5倍に増やす案を提案したという。中国は、増資と出資比率変更を同時に行うべきだと主張している。
増資と比率の同時変更は難しいので、「まず増資を行い、それから出資比率」を決めるという米国案採択の可能性が出てきたとの見方もあるようだ。他方IMF理事会に3人目のアフリカ出身者を加えることについては、前進したようだ。
確立した現実を国際秩序に反映すべく改革していくことは重要だ。なお、今の投票権率は、第1位の米17.40%に続き、日6.46%、中6.39%、独5.58%、英4.23%の順番で、印は第8位で2.75%となっている。
求められる中国の国際協調
IMFのリソース拡大の必要性と世界経済の現状を反映させる改革は、避けて通れない問題である。今年の主要20カ国・地域(G20)首脳会議やブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5カ国(BRICS)首脳会議で見られたように、それは大きな、難しい政治上の問題にもなっている。それゆえ、期限の12月15日までに関係国に受け入れ可能な妥協案が合意されることが期待される。
中国等の割当率の増大については、他の関係国の割当率の縮小をせねばならないゼロサム・ゲームであり、調整は簡単ではない。その際も、特に中国については、この社説が言うようにIMFの原則遵守とIMFへの協力(債務再編等への協力)が必要となることは当然であろう。
多国間金融機関については金融機関なるが故に、加盟国の権利と義務のバランスが不可欠であり、中国やグローバル・サウスは経済ナショナリズムだけの議論では行かないことを理解すべきだ。
また中国の今の振る舞い(スリランカ等での一帯一路による債務漬けとそれへの対応を含め)を見れば、中国に一層大きな責任を与えることに世界が躊躇することも理解すべきだ。中国が国際協調を打ち出し、行動で示すことが重要だ。