2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年10月16日

 今後の中露関係のあり方について、上記論説は3つの道を提示していますが、第1の中露同盟の道はあまり実現しそうにないとしています。しかし、江沢民時代の2001年に結ばれた中露善隣友好協力条約(有効期限20年、以後5年ごと自動延長)は、双方に国際的な脅威が出てきた時に協議すると定めている準同盟条約です。1950年代のような中露の強固な同盟は考えにくいですが、今、それに近い関係にあるとは言えるでしょう。

 米国がこの中露結託を阻止するために何ができるかについては、できることはあまりないでしょう。論説では、中露結託を阻止するためにどうすれば良いかを論じていますが、米国の力を過信しているように思われます。キッシンジャーは中露の分断を上手く利用しましたが、キシンジャーがその分断を作ったわけではありません。

 中露は一緒になって嫌がるでしょうが、米国は法の支配や人権の尊重を強調し、中露のいずれかでの政権の性格が変わることを期待することが本筋でしょう。それが、米国や日本を含む同盟国の価値にも合致する政策です。ただしそれは、米国と中露の対立は深めることにはなるでしょう。

 なお、中露の領土問題について、一部の学者は五分五分で解決したと言いますが、ハバロフスク前面のヘイシャーズ島は2分割されましたが、例えば珍宝島・ダマンスキー島は全て今や中国領です。1989年、ゴルバチョフ訪中の際に鄧小平がゴルバチョフに対して、1860年の北京条約を不平等条約と認めるよう迫り、交渉の末、ロシアが妥協して問題の解決を図ったと言われています。日本にも鄧小平のような迫力のある政治家が出て来ることを願います。

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