2024年12月26日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年10月25日

 理論的には、イランが査察を許し、米国が見返りに制裁を緩和することが考えられる。これは、米議会が合理的に行動することが前提にあるが、それは今日ファンタジーである。イランとの合意は内容いかんにかかわらず共和党議員から非難されるだろう。マルコ・ルビオ議員は、イランが核活動を全て止め、自由民主主義国にならない限り制裁は解除しないと言う。それには既に10人の上院議員の賛同を得ている。

 米国もイランも取引に同意しうるか、はっきりしない。ロウハニもオバマも相手に実施能力があるのだろうかと考えている、と述べています。

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 この論説は、ロウハニとオバマが、イランの核問題について合意した際に、それぞれが国内で抱えるであろう問題を的確に描写しています。

 しかし、こういう国内政治上の問題は、大きな外交問題には必ず付きまとうものです。それを押さえて何が世界や国のためかを考え、交渉し、その結果を国内で通していくのが政府の指導者の役目です。

 オバマとロウハニ(というよりハメネイ)の間に信頼関係はないでしょうが、イラン核問題が解決されない場合の事態の重大さに鑑み、両者が歩みよることが必要でしょう。

 ロウハニの国連演説及び上記論説内の発言は、イラン核問題の解決に向けてチャンスがあることを示しています。

 なおスターリンは、「相手の立場に身を置いて物事を考えてはいけない。そういうことをしていると、とんでもない誤りを犯す」とよく言っていたそうです。米、イラン双方とも、相手の事情を考える必要はありますが、結局はこれはよくわかりませんから、イラン国内の問題はロウハニが、米国内の問題はオバマが適切に処理するだろうとの前提で交渉をすれば良いのでしょう。

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