また、夫の所得だけで1000万円以上の世帯は137万世帯であるが、夫婦で1000万円以上稼ぐ世帯は213万世帯とより多い(表の出所のより詳細なデータで計算した)。夫婦のどちらかが働いている2,129万世帯のうち、夫の所得だけで1000万円以上の世帯は、その6.4%しかいないが、夫婦で働いて1000万円以上の世帯は10.0%ある。さらに重要なことは、これらの世帯はより若く、したがって、より長い間、高い所得を得ることができるだろうということだ。すなわち、より長く日本経済の豊かさを支えることができるということだ。
スーパーカップルの誕生が意味するもの
夫婦で働く高所得の世帯が生まれていることは、多くの問題を提起する。
第1に、女性がフルタイムで働くために保育所など社会の支えが必要だ。また、結果よりも労働時間を評価するような日本の経営を改めることも必要である。女性が働くことは、人口が減少する日本では、社会が必要としていることであるからだ。
第2に、高所得カップルの子供を税金で面倒を見ることに疑問を生じさせる。現行の保育制度では、母親の所得が高くても、実際にかかるコストの8割が税金で賄われている。むしろ、所得の高い家計からは実際にかかるコストに見合った保育料を徴収し、その資金で保育所を増設すべきである。所得の高い母親がより多く働けば、より多くの税収が得られる。これは社会全体の利益となる。
第3に、保育にかかる費用は所得を得るための必要経費として、所得から控除することを認めるべきだ。働く母親にとって、通常の保育所のサービスだけでは十分ではない。通常の保育料に加えて、延長保育やベビーシッターにかかる費用も控除できるようにするべきだ。出生率が2を超えているアメリカでは、これが認められている。
現在の政策、制度、慣行、認識は、スーパーカップルの誕生という現実に追いついていない。
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