2024年5月23日(木)

Wedge REPORT

2024年2月22日

 「マンション防災」は、「とどまるマンション」の普及促進や、町会や自治会活動を通じたコミュニティー活動の促進、エレベーターの早期復旧に向けた応援体制の構築など、東京の特性を踏まえた政策を進めるとしている。しかし、急増しているタワーマンションでは、高層マンションに起きるとされる長周期地震動などへの一層の備えが求められる。

進む高経年化と
不足する修繕積立金

 国土交通省によると、築年数が40年以上経過したマンションの増加が、図表にあるように今後は加速するため、いかに長持ちさせるかが問われている。中でも1990年代後半から建ち始めた20階以上、高さ60メートルを超えるタワマンは眺望が良いことなどから人気が高い。不動産経済研究所によると、2022年末には首都圏の一都三県で賃貸も含めて957棟も建っており、今後もこのトレンドは続く。

 老朽化が進み修繕も難しくなると、建て替えるという選択肢がある。建て替えた際にマンションの容積率に余裕があり、高さを上げるなどして部屋数を増やせれば、住民の負担増を減らせる。しかし建て替えを手掛けてきた伊藤忠都市開発(東京都港区)の伊藤誠マンション建替室長は「容積率を増やせるなどの条件が良い物件は一定数の建て替えが進んだことで、建て替えが可能な物件は少なくなっている」と話し、23年3月末までで累計282件(全国ベース)しか実現できていない。

 十数年ごとに行われるマンションの大規模修繕工事に必要な修繕積立金が不足に陥るケースが最近、急増している。建築資材の高騰と工事作業人件費の上昇により、これまでの計算で積み立ててきた金額では間に合わなくなってきているためだ。

 最近では修繕積立金は、購入時には低くして段階的に増額していく段階増額積立方式を採用しているところが多い。しかし、積立金を引き上げるためにはマンション管理組合の合意が必要になる。資材の値上がりで引き上げ幅が2倍、3倍になる事例もあり、その場合は居住者の合意を得るのが難しく、修繕工事に着手できない事例もある。そうなるとマンションの資産価値が落ち込み、将来的には”スラム化”する恐れがある。

 一方で、積立金不足で修繕工事ができなくなる事態を避けるために、購入時から将来の長期修繕費用を計算して均等積立方式に変更する管理組合が出てきている。しかし、この方式を採用すると住み始めた最初の修繕積立金が段階増額方式と比べて高くなる。マンションを販売する側としては、修繕積立金が高くなると購入希望者から敬遠される。

 国交省は昨年10月から、段階増額積立方式の適切な引き上げ幅などについて、専門家による検討を進めている。

 ここで問題化しているのが、修繕する業者が提案した工事費用が水増しされて過大に請求をされるケースが多いことだ。マンションの管理組合は数社から見積もりを取るなどしてはいるが、素人集団のため過大な請求内容を見抜くことは難しく、業者の言いなりの工事を契約してしまいがちだ。最終的には必要のない工事まで盛り込まれて、想定以上の工事費を請求され、積立金では賄えないという事態になるケースがあるという。


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