中国では9月29日から10月8日まで8日間、国慶節の大型連休を迎える。福島第一原発の処理水問題の影響、国内経済の悪化などもあり、団体観光客がどの程度来日するかは未知数だが、「大型連休中も中国の個人、とくに富裕層は日本の不動産を買いにやって来ると思います」と、中華圏最大級の日本不動産プラットフォームを運営する中国系企業、「神居秒算」(しんきょびょうさん)代表取締役の趙潔氏と同社執行役員COOの楊嵘氏は口をそろえる。
中国人による日本の不動産の爆買いは昨年から話題になっており、円安が加速した際は「日本の不動産は(中国人富裕層にとって)バーゲンセール状態だ」と言われるほどだった。同社によれば、その傾向は現在も続いており、日本の不動産に興味を持つ人が多いという。
中国からどのような人々が来日し、日本でどんな物件を買っているのか。また、最近はどのような傾向があるのだろうか。
超富裕層と富裕層でも異なる嗜好
趙潔氏によると、在日中国系不動産企業は、個人経営なども含めると約1000社に上るが、同社はその代表的な存在で、ウェブサイトには東京・大阪だけでなく、全国各地の約3000件が掲載されている。同社の顧客は「主に中国、香港、台湾在住者で、1億円以上の資産がある富裕層」とのことだが、彼らはまずウェブサイトを見て同社に問い合わせをし、日本の物件を購入するというステップを踏むという。
「昨年10月末、日本政府が水際対策を解除した頃から徐々に問い合わせが増え始め、来日して物件を見学したいという希望者も訪れるようになりました。最初は香港、台湾の顧客、続いて中国からの顧客が増えてきました。今年になってもその傾向は変わらず、現在は1日数十件の問い合わせがあります」と趙氏は語る。
趙氏によれば、一口に富裕層といっても、その中にはいくつかのランクがある。超富裕層の間でとくに人気なのは東京・港区のタワーマンションで、価格は最低でも3億円以上だという。