2024年12月7日(土)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2023年10月23日

 中国の不動産不況のニュースが日々報じられている。

 2021年秋、真っ先に経営危機が表面化した大手デベロッパーの恒大集団(エバーグランデ)は、2年が過ぎた今、会社こそ存続しているものの実質的な破綻状態にあるとみられている。今年9月には創業者の許家印(シュー・ジャーイン)氏が当局に拘束され、取り調べを受けていることが明らかとなった。資金集めのための投資商品が詐欺として立件されるとの見方が広がっている。

経営危機が指摘されている恒大集団の住宅地(CFoto/アフロ)

 同社だけではない。業界最大手の碧桂園(カントリー・ガーデン)も資金繰りに苦しんでいる。原稿執筆時点では正式発表はないが、10月18日期限の社債利払いが確認されておらず、債務不履行となった可能性が高い。

 それも無理からぬところだろう。今年上半期だけで1兆円以上もの赤字を計上したというのだから。碧桂園のトップである楊恵妍(ヤン・フイイェン)は2007年に父である創業者・楊国強(ヤン・グゥオチャン)から株式を譲り受け、26歳という若さで中国長者番付1位の座を獲得したスーパーリッチだ。しかし株価はマイナス90%以上も下落しており、プライベートジェットの売却にまで追い込まれたことが報じられている。

 他にも資金繰りに苦しむ不動産デベロッパーは多い。中国誌・財新によると、年内にデフォルトに陥る可能性がある企業は65社に達するという。

 いったい、何が起きているのか。これから何が起きるのか。

中国不動産危機の現状

 危機の引き金となったのは、20年夏の不動産規制だ。

 コロナ対策の金融緩和によって不動産価格が急騰したため、中国政府は強烈な引き締め政策を導入した。そのうち、不動産デベロッパーに対して、債務を削減しなければ新たな融資を受けられないという条項が想像以上の波紋を広げた。

 金を限界まで借りて、土地を取得し、経営を拡大する。アクセル全開だった不動産デベロッパーに急ブレーキを踏ませることとなったのだ。資金難から建設途中で工事がストップする物件が続出し、消費者には不安が広がった。


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