フィナンシャルタイムズ紙コラムニストのトニー・バーバーが、1月24日付けの論説‘Populism rears its head once more in central Europe’で、昨年10月に首相に返り咲いたロベルト・フィツォの下でスロバキアが非リベラルの路線に転向した様子を描写し、「モグラたたき」の如く、中欧ではスロバキアでも民主主義の擁護の戦いを強いられていると論じている。要旨は次の通り。
中欧における政治的ポピュリズムを封じ込める奮闘は、時に「モグラたたき」のように見える。ある国で蓋をしたと思ったら別の国で飛び出す。最近の例はスロバキアであり、同国では首相のロベルト・フィツォが非リベラルな政策を実行しつつある。
フィツォは、ウクライナ政府は米国の傀儡だと冷笑してウクライナ叩きをやっている。彼の文化省はクレムリンのウクライナ侵攻の後停止されていたロシアとベラルーシとの関係を回復すると発表した。就中、フィツォは、ハンガリーのオルバンとポーランドのカチンスキに倣って、スロバキアの司法をその管理下におく計画を推進しつつある。
フィツォは腐敗と組織犯罪に重点的に取り組む特別検察官室を解体し、内部告発者の保護を縮小することを意図している。目的はフィツォの政党Smer(2012年から18年まで政権党)が政権を失った後に始まった捜査からSmerの幹部を保護することである。欧州議会は賛成496、反対70、棄権64でこれらの提案を批判する決議を採択した。
スロバキアの非リベラリズムへの転向は9月に議会選挙でフィツォが勝利した時に始まる。フィツォは今や3党連立政権を率いるが、もし、彼の味方で議会議長を務めるペーター・ペレグリーニが3月23日に予定される大統領選挙に勝てば、彼の権力は強まるであろう。世論調査によれば、ペレグリーニが親欧州の元外相イヴァン・コルチョクをリードしている。