2024年5月9日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年3月21日

 頼は、台湾は地政学的な課題に直面し、平和、互恵、民主主義、対話の原則に基づいて両岸関係を処理する、と述べ、委員会の支援を受け、台湾は引き続き国防力を強化し、国際社会に自衛の決意を示す、と付け加えた。

 ギャラガーは、議員団は、台湾海峡の平和と安定を強化するという「平和の使命」を担っており、それは米台議員間の緊密な交流から恩恵を受けるだろう、と述べた。同氏は、米国の同盟国や自由世界を「分断し征服」しようとする北京の試みは、台湾人と米国人が力を合わせて権威主義的な侵略に対抗していることから、失敗であることが証明されたと述べた。

 「米国の民主・共和両党は、台湾の自由と我々の自由のために、台湾と共に立ち上がる。」とギャラガーは語った。また、「11月の米大統領選で誰が選ばれようとも、台湾への支持は続くと確信している」とも述べた。彼はまた、米国が重要物資の中国への依存を減らすために、台湾との自由貿易協定を支持している。

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「疑米論」を打ち消す訪問

 最近、米下院の「米国と中国共産党の戦略的競争に関する特別委員会」の委員長(マイク・ギャラガー)の率いる超党派議員団一行が台湾を訪問し、蔡英文総統や次期総統の頼清徳と会談した。Taipei Times は、この事を論評しており、興味深いものである。

 台湾内部では、本年1月の総統選挙の際に、米台関係の在り方についても大いに議論が戦わされた。中でも、台湾の安全保障について、いざという時に米国は台湾を守ってくれるのか、台湾を見捨てることがあるのではないか、というような悲観論(いわゆる「疑米論」)が、一部の人々によって議論された。

 今回のギャラガーをはじめとする米国議員団一行の目的は、まず、このような「疑米論」を打ち消すことにあったに違いない。なお、「疑米論」は当時台湾で多く流されたが、中台間の「フェイク・ニュース」を含めた情報戦の一部であったかもしれない。

 米議員団一行は、まず、今回の台湾訪問は台湾に対する米超党派の支持を示すものである、として、台湾と米国の関係はますます強く、盤石のものとなっていると述べるとともに、本年11月の米国大統領選挙については、共和党、民主党の誰が勝利しても、米国の台湾支持に変わりはないとの立場を強調した。そして、台湾の活気に満ちた民主主義と強い経済力を称賛するとともに、「習近平が台湾に軍事的侵攻を試みれば、必ず、失敗するだろう」と述べた。


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