そして、ギャラガー一行は、米国が米国国内法である「台湾関係法」に基づき台湾に武器を確実に届ける必要があるが、その供給が一部滞っていることは米台間の大きな問題であり、米国としては、引き続き尽力する必要があると述べた。
翻って、2022年夏、ペロシ下院議長が台湾に立ち寄った際、中国は「軍事演習」と称して、台湾海峡周辺に弾道ミサイルを発射し、そのうち5発が日本のEEZ(排他的経済水域)に着弾した。これは、ペロシ議長の訪台に伴う報復措置として、中国が軍事的威嚇を強めたものであった。今回のギャラガー一行の訪台においては、ペロシ訪台の時ほどの中国からの軍事的威嚇はなかったが、台湾海峡を挟んで米中が対峙する図式は変わらない。
日本も関与が必要な政治的・経済的要因
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に台湾が加盟することは、台湾の悲願でもある。米国が同協定から脱会した今日、日本がインド太平洋において主導的役割を発揮することが求められている。半導体を中心とした先端技術を持つ台湾の参画による自由貿易圏の拡大は、このアジア太平洋地域の安定と繁栄のための喫緊の課題と言えよう。
自民党の麻生太郎副総裁は、福岡県内で、「台湾で戦争ということになった際われわれは台湾にいる日本人を救出しなければならない。台湾に戦ってもらわなければ、無事に救出することは難しい」などと述べた。そのうえで「台湾の非常時は、間違いなく日本の存立危機事態にもなる。準備をしておかなければならない」と強調した。
「台湾有事」が日米の有事にもなること、日本はそのために「戦う覚悟」を必要としていること、については多言を要しないだろう。