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2013年11月11日

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弓野正宏 (ゆみの・まさひろ)

早稲田大学現代中国研究所招聘研究員

1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。

 勝手なアジェンダセッティングは投機的な資本運用を行う際の基本的特徴だ。政府の政策は国の投機資本がでっちあげを行う重要な対象であり、「自由放任」の旗を掲げるアメリカ・イギリスでも例外ではない。早くは中国電信(チャイナテレコム)株の海外での上場を巡る通信政策でのでっち上げや少し前の上海貿易区概念の提起、今回の「383」報告書や劉鶴の文章、と投機的な資本が利益誘導しようとする原則は終始一貫しており、でっち上げの手法は、早くは国内の官僚や政府研究機関の人員たちによる小さな声に過ぎなかったが、最近では政府機関の報告書に極端で恣意的な見解を提起するまでになっている。

 中国市場の開放の拡大と国際経済への影響力の拡大に伴って、中国市場への海外資本は日増しに増加している。彼らの政策への介入の度合いも日増しに増えている。いったんこうしたでっち上げが多くの市場アクターの非理性的な盲従を引き起こせば、投機資本は成功を収めるであろう。もしでっち上げと政治勢力の陰謀が互いに影響し合えば、彼らが成功する確率は大幅に高くなる。

政策は長期的な利益を考慮して

 投機的な資本の本質は変わらないが、民衆と政策決定者は識別能力を強めることができ、盲目的になびかず、自分の判断力と政策決定が乗っ取られないようにできる。もし、市場ででっちあげが行われ投機が行われるなら全てが無に帰してしまう。上海自由貿易区の情報が公開されてからというもの、自由貿易区の概念が膨張するように広まったが、しかし貿易区の看板が正式にかけられるころにはその熱も冷めてしまったではないか。

 政策決定者はいつも冷静に、政策決定の立脚点は持続可能な長期的利益にあるのだということを理解し、短期的な利益の追求であってはならないことを心に刻むべきである。実体経済部門が持続可能でなければならず、投機的な資本市場のように一時のブームで一喜一憂してぐるぐるかわるものではないのだ。

 我々は改革への勇気と気概を持つべきだが、「改革の成果」ばかりを熱心に追い求めるような一時的な追求者であってはならない。こうした投機を好むのは不動産、金融などの資本市場でのアクターであり、彼らはうまく市場制度(の抜け穴ということだろう:訳者)を利用して儲けるために制度「改革」に熱心である。しかし、実体経済の実質的なアクターが必要とするのは安定的に予測できる環境であり、仰々しい浪費ではない。一つの大国がよって立つのは実体経済であって、資本のゲームなどでは決してない。

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