2024年4月15日(月)

BBC News

2024年3月28日

アメリカ・メリーランド州ボルティモアで、コンテナ船が衝突して橋が崩落し、6人が行方不明になった事故で、同州警察は27日、2人の遺体を収容したと発表した。また、捜査当局は船からデータの記録装置を回収した。

ボルティモアで26日未明に発生したこの事故では、パタプスコ川にかかるフランシス・スコット・キー橋の支柱にシンガポール船籍のコンテナ船「ダリ」が衝突し、橋の補修工事をしていた作業員8人が川に落下した。その日のうちに2人が救助されたが、1人は重体となっている。

米沿岸警備隊は行方不明者6人について、川の水温と、水中にとどまっている時間の長さから死亡したと推定されるとし、大規模な捜索・救助活動を中断すると述べていた。

6人は橋のメンテナンス工事を請け負うメリーランド州の地元業者「ブラウナー・ビルダーズ」の従業員。

メリーランド州警察のローランド・バトラー長官は27日の記者会見で、車両の中から2人の遺体を収容したと発表した。メキシコ出身のアレハンドロ・エルナンデス・フエンテス氏(35)と、グアテマラ出身のドルリアン・ロニアル・カスティリョ・カブレラ氏(26)と確認されたという。

他の行方不明者らも、ラテンアメリカ諸国の国籍を有しているとみられている。

作業員について分かっていること

行方不明となったのは、メキシコ、グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドルの国籍の人々とされる。

このうちエルサルバドル出身の行方不明者の1人はミゲル・ルナ氏だと、ボルティモアの移民コミュニティにサービスを提供する非営利団体CASAとエルサルバドル外相が明らかにした。CASAによると、この同氏は3人の子供の父親で、メリーランド州で19年以上生活していた。

ホンジュラス出身の犠牲者はマイノル・ヤシル・スアソ・サンドバル氏だと、同国の移民保護サービスが確認した。

サンドバル氏のきょうだいは、同氏はアメリカで18年生活していて、結婚し2人の子供がいると米メディアに語った。

グアテマラ外務省は作業員2人が同国籍であると認めた。うち1人は、27日に遺体で見つかったカブレラ氏。

メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領は27日、橋から落下した作業員のうち3人はメキシコ人だと明らかにした。うち1人は27日に遺体で見つかったフエンテス氏で、もう1人はすでに救助されたという。

データ・レコーダーを回収、事故原因解明は

当局によると、捜査官はコンテナ船に入り、データ・レコーダーを回収した。これは、航空機のブラックボックスに似た記録装置。

捜査当局は事故原因を調査している。データ・レコーダーは船がどのように機能不全に陥ったのかを解明するうえで、さらなる手がかりになる。

専門家らは、質の悪い燃料が停電を引き起こした可能性や、フランシス・スコット・キー橋がコンテナ船「ダリ」よりもはるかに小型の船舶しか通行できない設計になっていたことなど、複数の要因が重なって橋の崩壊につながった可能性があると指摘している。

捜査当局は、汚染された燃料が船の電力喪失に関係しているかどうか調査していると報じられている。不純な燃料は船のエンジンや発電に問題を引き起こす可能性がある。

「船は停止し、操舵力を失い、電子機器も使えなくなった」のだと、当局者の1人は米フォックス・ニュースに語った。「エンジンの一つがガラガラと音を立て、停止した。エンジンルームには焦げた燃料の臭いが充満し、真っ暗になった」。

電力を喪失した船は制御不能になり、橋に向かって漂流した。乗組員は左舷に舵を切ったり、いかりをおろしたりして衝突の衝撃を和らげようとしたが、うまくいかなかったという。

マサチューセッツ大学アーマスト校のサンジャイ・ラジャ・アルワデ土木工学教授は、「本当に大きな船で、時速わずか2~3キロで航行したとしても、その勢いとエネルギーはすさまじいものだ」と指摘する。

ピート・ブタジェッジ運輸長官は26日の記者会見で、フランシス・スコット・キー橋は「重さ約2億ポンド(約9万トン)の船舶が重要な橋脚に直接衝突することに耐えられるようにはできていない」と述べた。

フランシス・スコット・キー橋、設計と安全対策

フランシス・スコット・キー橋は1977年に完成した。当時、この橋の下を通過することを想定された船舶は、コンテナ船「ダリ」など現在の巨大船舶よりもはるかに小規模だった。

「当時、ボルティモアの港を横断していた船舶とは比較にすらならない」と、米土木学会の元会長ノーマ・ジーン・マッテイ氏は述べた。

「設計寿命は非常に長く、時には100年を超えることもある。そのため、構造物に対する需要は、設計や建設の時点では予見が難しいものへと変化する可能性がある」と、前出のアルワデ教授は述べた。

土木技師は構造物の設計にあたって、一部が壊れても構造物全体が崩壊しないようにするのだと、アルワデ氏は言う。しかし、長さのある橋を支える柱をそのようにするのは「極めて難しく、不可能」だという。

また、ほかの安全対策も助けになり得るが、コストがかかるうえに効果も限定的だと付け加えた。

専門家らは、橋の近くには「ドルフィンズ」と呼ばれる防護壁が設置されていたようだが、橋の崩壊を防ぐことにはならなかったとしている。

また、「フェンダー」という橋脚を守る保護材は設置されていなかったとみられている。

(英語記事 What contributed to the Baltimore Bridge collapse?Baltimore bridge collapse: Father of three among victims

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c9edl0rjlxro


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