田部康喜のTV読本

2013年11月20日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 めまぐるしくその表情を変える、変わり者のくるみ役をこなす、橋本愛のコメディアンヌぶりを観ていると、いかに演技派であるかがわかってくる。

ユイ役で知られる前から、多数の映画に出演

 橋本愛はユイ役で知られる前からすでに、美少女の映画女優としてその地位を獲得している。湊かなえ原作の「告白」(中島哲也監督・2010年)では、幼い娘を殺された中学校教師・森口悠子(松たか子)の復讐の対象となる犯人の男子生徒と友人となり、最後は彼に殺される北原美月役を演じた。クラスメイトの桐谷修花役で能年玲奈が出演している。

 綾辻行人原作の「Another」(古澤健監督・2012年)では、クラスメイトに死んだ者として無視されている、見崎鳴役を演じた。この原作はこれから美少女によってなんども映像化されることだろう。「伊豆の踊子」(川端康成)や「時をかける少女」(筒井康隆)、「ねらわれた学園」(眉村卓)の系譜に連なる。

 「ハードナッツ!」の第5回は、ワイン評論家が、ワインの品質をぶどうの収穫年やその年の気象によって予測する方程式を残して殺される。くるみはその方程式がすでに海外の学者がたどりついた式を日本式にアレンジしたことを解明していく。

 地下のワインセラーに向かう階段からの転落死と、警察は当初みていた。伴田は直感的に現場の様子がおかしいと感じて、くるみに写真をみせる。飛び散ったビンのガラスの破片の散らばり方が、数学的にみるとやはり疑惑があることがわかる。

 ドラマの隠し味として、くるみが料理を作る際に研究室に教授が大切に保管していた高価なワインを、価値を知らずに使ってしまったエピソードがからまる。脇役の法学部の教授に使ってしまった空き瓶を見とがめられたので、ごまかすために、殺されたワイン評論家の妻に近づき、同じワインを手に入れる。担当教授が帰国したときに、その法学部の教授と飲み交わす約束のワインだったのである。

 ワイン評論家の自宅の壁に貼られた写真から、くるみは、評論家と料理研究家の女性が不倫関係にあることをみやぶる。ふたりは理科系で、数式を書いた紙を掲げて記念撮影している。くるみは、その数式を解析すると、ハートの図形が浮かび上がることに気づいたのである。

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