2024年5月30日(木)

中国メディアは何を報じているか

2013年11月20日

 (4)はこれまでも改革措置は十分に提出されていたと評価しながらも、さまざまな障害によって実施されなかったと指摘する。その障害について、(1)と(2)は、複雑な既得権益層の抵抗、改革への不安感、社会主義から乖離していくイデオロギー的な拒否反応などを挙げる。特に(5)では習自身が思想観念の障害が「体制内から来る」と指摘していることは重要である。具体的には、中央官庁や地方の抵抗を指している。また(3)は、現実の経済界、社会、国際社会の現状に政策措置が追いついていない点を指摘し、政策の策定能力の問題を提起している。

習近平への権力集中が加速

 習は「改革」の障害を乗り越え、全面的に深めることができるのだろうか。

 この「決定」の注目点はいくつかあるが、そのうち改革を進めるという点で特に注目するのは、「中央全面深化改革指導グループ」を設置することである。

 「決定」で挙げられた改革項目には、すでに国務院を中心に検討され、政策措置が策定され、実行に移されているものが少なくない。経済運営は国務院総理である李克強の担当であると考えられている。新たに「中央全面深化指導グループ」が設置されるということは、改革の司令塔が国務院から党中央に移ることを意味し、それは習が李から改革の主導権を奪ったことを意味するといっても過言ではないだろう。

 習同様に党総書記、中央軍事委員会主席、国家主席とポストを独占した江沢民は経済運営を朱鎔基総理に、胡は温家宝総理に基本的に任せてきた。しかし、習は今年の夏ごろから経済運営に介入するようになってきた(例えば、7月の湖北省視察で周辺の省・直轄市責任者を集めた座談会を開催)。

 習がこれからの経済運営の中心になる改革の全面的深化で主導権を発揮する体制を作ったことは政治的な意図があると考えざるを得ない。

 1つは改革に対するスタンスをめぐり民生重視の習と構造改革重視の李のあいだの確執である。今年前半の構造改革重視優勢は7月以降いくらか衰え、民生重視に優勢の感がある。その変化を両者の確執と見ることもできるが、民生重視が優勢にならなければならないほどの社会的な不安定さ(失業率や企業倒産数の上昇など)が顕著になっている状況は必ずしも観察できない。


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