2024年4月25日(木)

科学で斬るスポーツ

2013年12月2日

 効果はてきめんだった。ゴールまで最高のパフォーマンスを見せて、失速は消えた。アテネ、北京五輪で100m、200m2種目で連覇した北島康介もその一人だ。

脳は「終わりと思った瞬間」活動を停止

 なぜ、ゴールだと思うとダメなのか。それは脳が終わりと思った瞬間、活動をやめてしまう癖があるからだ。これを確かめた実験がある。

 1分間に50回、パネルを移動する光に触れる作業、タッチパネルをやってもらって、残り20秒で「ゴールはまだ遠い」「ゴールは近い」と思った時の大脳皮質の血流活動を比較した。

 「遠い」と思った時は、判断・理解をつかさどる前頭葉、スポーツのパフォーマンスに影響する頭頂連合野が活発に活動しているが、「近い」と思った瞬間、活動をやめてしまう。勝負への意欲とパフォーマンスが下がってしまう現象だ。

 これが勝敗を左右する脳の本能「勝負脳」。脳科学が解明した脳の癖の一つだ。

 実は、ほかにも勝負に影響を及ぼす脳の癖がある。「プレー中の新しい指示」と「プレー中の否定語」などだ。


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