2024年7月7日(日)

BBC News

2024年7月4日

シンガポールの裁判所は1日、2019年に大学生を「残忍かつ残酷に」レイプしたとして、日本人の男性被告に禁錮刑とむち打ち刑を言い渡した。

在シンガポール日本大使館はBBCニュースの取材に、美容師のキタ・イッコウ被告(38、漢字表記不明)が日本人として初めて、シンガポールでむち打ち刑に処せられることになったと説明した。

同被告が宣告されたむち打ちは20回で、禁錮は17年6カ月。

むち打ち刑の是非はさまざまに議論されているが、シンガポールでは身体的な罰として広く採用されている。破壊行為、強盗、麻薬取引などの犯罪では必ず実施することになっている。

今回の裁判の資料によると、被告は2019年12月、人気の歓楽街クラーク・キーで女性(当時20)と出会った。両者に面識はなかった。

被告は酔った女性を自分のアパートに連れ込み、レイプした。その行為を携帯電話で撮影し、のちに友人に送った。

女性はどうにかアパートから出て、その日のうちに警察にレイプ被害を届け出た。

被告は同じ日に逮捕された。以来、警察に勾留されている。

警察は被告の携帯電話に、この女性に対するレイプの動画2本があるのを発見した。

日本でもさまざまな声

アイディット・アブドゥラ裁判官は、犯行を「残忍かつ残酷」と指摘。被害者は「無防備な状態で、明らかに酒に酔っており、自分自身の面倒もみられなかった」と付け加えた。

また、被害者が当初、性交への同意を示していたとする弁護側の主張も退けた。

この判決は日本でも広く報じられ、ソーシャルメディアでトレンド入りした。

一部のユーザーは、現代のシンガポールでむち打ち刑が採用されていることに衝撃を受けたとしている。一方で、この判決を称賛する声も出ている。

「日本で性的暴行事件があると、社会や警察は被害者に罪悪感を抱かせる。刑罰もあまりに軽い」といった内容の投稿もあった。

シンガポール当局は、むち打ち刑が凶悪犯罪の抑止力になるとしている。ただ、人権団体などは、それを明確に証明するものはないとしている。

シンガポールでは、むち打ち刑は、木製の棒を使って太ももの裏をたたく。跡が一生残ることもある。

人権団体「トランスフォーマティヴ・ジャスティス・コレクティヴ」によると、むちの長さは約1.5メートルで、直径は1.27センチメートル以下。

シンガポールのむち打ち刑をめぐっては、1994年に当時19歳のアメリカ人マイケル・フェイ受刑者(当時)が破壊行為の罪で6回のむち打ちを受け、国際的に注目された。

当時のビル・クリントン米大統領が反対したが、シンガポール当局はむち打ち刑を執行。ただし、むち打ちの回数は減らした。

(英語記事 Singapore to cane Japanese hairdresser for rape

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cp9vm4jy98yo


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