2024年6月28日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年6月24日

 Economist誌が「クリミアでウクライナはロシアを負かしている。半島はロシアの兵力にとり死の罠になってきている」との解説記事を掲載している。その要旨、次の通り。

(Dmytro Sheremeta/gettyimages)

 4月のバイデン政権の610億ドルの軍事支援パケージは影響を与えている。特に300キロメートル(㎞)の射程を持つATACMSの到着はウクライナがクリミアの如何なる目標も打撃できることを意味する。

 もっと大きな意味があるのは、5月30日、バイデン大統領がロシアの核のエスカレーションを懸念し、米国の兵器でロシア領内の軍事目標を攻撃することに課していた制約を緩和したことである。

 クリミアでのウクライナの作戦の有効性は、何ができるかを示している。欧州駐留米軍の元司令官ホッジ将軍によれば、ウクライナ側は、クリミアをロシア軍にとり居住不可能にしている。

 プーチンは2018年以来ケルチ橋でロシア本土とつながるクリミアを不沈空母と見てきた。その兵站、空軍基地、セヴァストポリの黒海艦隊はウクライナの南部を支配し、その重要な穀物輸出路を閉鎖できた。プーチンはクリミアの軍事インフラに巨額を投じてきたが、そのすべてがいま脅かされている。

 英国の戦略家ローレンス・フリードマンによれば、クリミアはロシアにとりそこで守るべきものが多すぎて、弱点になっている。クリミアは将来譲歩を引き出すためにプーチンに圧力をかける最善の道を提供する。

 ウクライナがやろうとしているのはクリミアをプーチンにとり資産ではなく重荷にすることである。目的はクリミアを孤立させ、南部ウクライナからロシアの海・空戦力を追い出し、兵站を窒息させることである。


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