2024年7月1日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年6月24日

 ウクライナは既に無人機とミサイルにより、強大であった黒海艦隊の半分の行動力を奪ったかもしれない。残された全ての軍艦は300㎞離れたロシア本土のノヴォロシースク港に移転を強制された。ノヴォロシースクも5月17日、無人機で鉄道の駅や発電所、海軍基地が攻撃された。

 4月以降、ウクライナはクリミアのジャンスコイ空軍基地、ベルベクの空軍基地などのロシアの軍事拠点にATACMS攻撃を加え大きな被害を与えている。

 北大西洋条約機構(NATO)同盟国の衛星情報、空中偵察、領土についてのウクライナ側の深い知識と地上にいる秘密部隊で、ウクライナ側はすべての動きを把握している。ATACMSの到着とウクライナの無人機の性能向上で、クリミアでの航空機、道路や鉄道は射程内にある。

 ホッジ将軍によれば、ウクライナ側は、準備できればケルチ橋を取り壊すことに自信を持っている。

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クリミアを失うことのプーチンのダメージ

 この解説記事はウクライナ側がクリミアでの戦いを有利に進めていることを的確に描写している。ウクライナ戦争の戦線は長く、多くの場所で戦いは行われているが、クリミアでは、米の長距離ATACMSの到着とウクライナの海空無人機の活躍でウクライナ側が有利になってきていると思われる。

 黒海艦隊はこの記事が指摘するように約半分が活動不能になり、残りの艦隊はロシア領のノヴォロシースク港に避難しているような状況にある。クリミアの空軍基地もウクライナ側の攻撃の対象になっている。防空のためのS-400システムも攻撃されている。

 クリミアはロシアにとっての戦略的資産から戦略的重荷になってきているとのフリードマンの評価やホッジ将軍の評価は的を射ているだろう。

 プーチンは14年、一兵も失うことなくクリミアをロシアに併合することに成功し、プーチンの国内での支持率も急騰した。プーチンにとり、クリミアを失う事は心理的に受け入れられないことに思われる。


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