2024年10月27日(日)

Wedge REPORT

2024年7月6日

ビジネスとしても発展していくための課題

ピックルボールのゲーム風景

 このように急成長中のピックルボールだが、今後ビジネスとしても発展していくためにはいくつかのハードルがある。まず日本特有の問題として、コートの不足が挙げられる。京田辺や隣接する八幡市では比較的体育館の予約が取れるものの、京都市内では場所の確保が難しい。東京なら八王子、杉並、町田などにクラブがあるものの、やはり都心では広がりにくいようだ。テニスコートの大半がオムニである、というのもコート確保の難しさに拍車をかける。

 先行する米国では、テニス人口が減少しコートがピックルボール専用に作り替えられるケースも多いのだが、ハードコートでプラスチックの球を打ち合うため、場所によっては騒音問題に発展する。筆者が米国で通っていたコートは住宅街の中にあるため、騒音苦情からコートに油が撒かれる、といったトラブルが起きた。これには防音ネットを張る、プレイ時間を限定する、などの対処が取られている。

 もう一つ、最大の問題が、シニアのプレイ人口が多いため怪我が多い、という点だ。昨年ロサンゼルスタイムズ紙に「ロサンゼルス一帯でのメディケア(65歳以上に無償で提供される医療保険)の保険申請が1割増えたが、その原因はピックルボールである」という記事が掲載された。

 テニスほど走り回る必要はないが、狭いコートでダブルスをすると接触事故が起きる、小回りな動きが要求されるため転倒も起きやすい、というのはピックルボールには避けられない問題だ。

 こうした課題はあるものの、子供からシニアまで楽しめるピックルボールは世界的なブームもあり今後も日本で人気が上昇しそうだ。2028年のロサンゼルス五輪種目に、という運動も起きており、日本でも自治体レベルでコートの確保などを求める声が上がってくるだろう。

 そしてこの新しい動きをどうビジネスに結びつけるのか、レッスンなどの機会を増やすだけではなく組織として米国のように優勝賞金が数千万レベルの大会、世界大会などを日本で開催できるようになるのか。今後の発展にはそうした運営面からの視点も必要になってきそうだ。

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