カート・キャンベルが、米国の中東政策を成功させるには、アジア政策を成功させ、それを外交的資源として使うのが良い、と11月14日付フィナンシャル・タイムズ紙掲載の論説で論じています。
すなわち、中東からの外交に関するニュースは、米外交政策の設計と遂行に関して、地域ごとに全く異なった要求があることを浮き彫りにしている。米国の中東への外交的関与が真に効果的なものと見られるためには、米政府は、中東和平プロセスに真摯に関与しなければならない。米国は、イランの核開発に対する厄介な取り組みについても主導している。
中東の地域情勢はますます複雑化しており、米国の焦点は、専制国家への対応から、無秩序で不安定化した地域における派閥間の権力争いを含む、より流動的で厄介な状況への対応へと移っている。米国がグローバルパワーであり続けるには、中東への外交的関心の継続を求められている。
欧州では、米外交に求められることが変化している。かつては、ヨーロッパ大陸に制度を作ることに焦点が置かれた。もっと最近では、イラクやアフガンのような、域外での共同行動を含むようになった。欧州がこれらの紛争から撤退し、経済危機と格闘するようになると、「大西洋主義者」の要求は縮小し、今日ではごく控え目なものとなっている。
そして、興隆するアジアへの対応という外交的タスクがある。米国のアジア政策が成功する重要な要素は、姿を現すことである、と言われてきた。アジア各国の政府では、10月のオバマ大統領の歴訪中止に対して懸念があったが、明白な失望の下には、米国の関与が継続することが政治的に必要であり望ましい、という理解があった。
米外交政策が成功するには、会議に出席し記念撮影をするということ以上のものが益々必要となっている。アジアへの関与は、外交、政治、経済、安全保障といった、多くの面での巧緻さが必要となっている。米国のパワーのあらゆる要素を統合し、繊細さと精緻さをもって、事に当たる必要がある。アジアは、米国が、積極的かつ真剣に、台頭する中国に関与する一方で、静かに注意深くヘッジすることを期待している。
中東や欧州と対照的に、アジアでは、外交的に達成できることがより多い。これは、アジアに傾斜する理由とはならないが、誘因にはなるかもしれない。ミャンマーへの継続的な関与、制度構築への多面的アプローチ、中国とのハイレベルで効果的な対話、対北朝鮮外交における共同戦線、アジアにおける貿易交渉の成功は、他の地域、特に中東外交にとって、プラスの影響をもたらすであろう。