ガンビアが台湾との外交関係を断絶したことは、馬英九政権の「外交休戦」方針への大きな打撃であり、将来、ガンビアは中国から経済援助を受けるようになるかもしれない、と11月17日付の台北タイムズ社説が述べています。
すなわち、馬政権の関係者は、ガンビアの突然の断交宣言の背後に中国はいないと述べ、中国の関与を疑う人たちの懸念を必死に打ち消そうとしている。このことは逆に、馬政権がいかに中国に依存してきたかを示している。
2008年以降の馬政権の最優先課題は中国との緊密な協力関係を築くことであった。その間、内政面では、電気代値上げ、新北市の第原発の建設、食品安全面でのスキャンダルなどに見舞われ、支持率は10%台に低下した。
ガンビアとの断交は、馬政権になってから最初の同盟国の喪失である。中国との間に外交上の「停戦」があるから、旧来の同盟国を失うことは有りえない、と公言していたことからみて、今回の事態は外交上の失態以外何物でもない。
馬総統は中国に依存することが万能薬である、との考え方をやめるべきである。ガンビアは当面中国と外交関係を樹立しないと述べ、また中国もガンビアの決定を知らなかった、と述べている。しかし、中国がアフリカ諸国に対し、いかに巨額の投資を行っているか、という現実を台湾政府は直視すべきである。ガンビアが将来中国から財政的支援を受ける可能性があることはよく認識されなければならない、と言っています。
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本社説の述べるとおり、馬英九政権は2008年成立以来、中国との間では「外交休戦」の名のもとに、現状維持策(不統、不独、不武=統一せず、独立せず、武力を行使せず)を取ってきました。これは、それ以前の民進党・陳水扁政権が中台間で、外交承認をめぐり、激しい陣取り合戦を演じたのとは対照的です。その結果、2008年以来、台湾を外交的に承認した国の数は、つい最近まで23を維持してきました。
この23という数字は、馬政権が中国との関係を安定的に維持、運営していることを示す大きなセールス・ポイントでもありました。今回の、西アフリカの小国、ガンビアの断交宣言は、馬政権に対し、大きな難題を突き付けたことになります。