2024年12月22日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年7月25日

 実際、この論説でも指摘されているように、ウクライナと異なり対台湾支援に対しては、米国議会では超党派の支持がある。ウクライナ支援を含む提案が長く議会で止まっていた理由は、それにより対台湾支援が制約されるのではないか、というプライオリティを巡る異論が主であったのだ。

強める米国とカリブ海との結束

 兪新代表は4月10日には、カウンターパートである米国在台協会(AIT)のラーソン執行理事と「台湾・米国 カリブ海地域技術協力協定」にも調印している。これにより、台湾の財団法人国際合作発展基金会(ICDF)と米国の国際開発庁(USAID)はカリブ海地域で台湾と正式な外交関係のある3カ国(セントクリストファー・ネービス、セントルシア、セントビンセント及びグレナディーン諸島)の開発において、連携を強めるらしい。

 具体的には、教育、農業、気候変動、災害対策、市民の安全、ネットワークとデジタル化、女性のエンパワーメントなどの分野で交流し、経験を共有してそれぞれの国に有用な「持続可能な援助計画」を提供していく由だ。

 これは、台湾と正式な外交関係がある国の開発を米国と台湾が協力して行うということであり、台湾にとって重要なだけでなく、米国にとっても、裏庭であるカリブ地域諸国の開発に台湾の力が使えるという、ウインウインの動きだ。目を転じれば、大洋州にも、ツバル、マーシャル、パラオという台湾と正式な外交関係を有する国がある。同様のことを、例えば、日、豪、台湾で実施する可能性は考えられないものだろうか。

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