2024年6月24日付フォーリン・ポリシー誌は、米国がとるべき対中政策について、マシュー・クローニグ大西洋評議会副会長とダン・ネグリア同「自由・繁栄センター」上級部長による論説を掲載している。
中国との戦略的競争において、米国が目指すべき政策目標は何かが問われている。バイデン政権は中国との「競争を責任を持って管理する」ことを目指している。しかし、米国は中国との争いにおいて「勝利」を目指すべきである。ここで勝利とは、中国が米国の死活的利益を害する意思や能力を持たない状況を実現することである。
単に「競争を管理」することは明らかに意味をなさない。いかなる競争も、目的は管理することではなく、勝利することだ。
歴史上の対立関係と同様、米中の争いもいつかは終結する。その時、米国にとって一体どのような状況が望ましいのかを考えなければならない。
中国は、現在、米国の死活的利益を活発に体系的に害する能力と意図を持っている。それには、米国のインド太平洋地域における同盟国やパートナーに対する軍事的強制、台湾に対する軍事的脅迫と侵略の威嚇、不法な貿易慣行による米国の経済的利益への侵害、米国の民主主義の侵食が含まれる。
さらに、中国は、米国主導の国際システムを自らが中心となる新たな世界秩序で置き換えようとしている。そうした新秩序は、権威主義と習近平の帝国を目指す野望に適合したものである。
こうした中国との新たな冷戦に勝利するためには、三つの方策がある。
勝利への第一の方策は、経済、技術、イデオロギー、外交、軍事力の全分野において中国を完全に競争で打ち負かすことであり、それによって、中国が米国の死活的利益を害する能力を失わせることである。このためには、中国経済からのデリスキングを進め、米国の経済的・技術的指導力を強化することが必要である。
税の軽減、規制緩和等トランプ時代の成長重視型政策を復活させるべきである。また、インド太平洋地域における同盟システムを拡大・深化させることで、勢力均衡を更に米国有利にすることができる。