ウォールストリート・ジャーナルが、日本の温室効果ガス削減目標見直しについて、これを理解し支持する社説を11月20日付で掲載し、「日本は、地球温暖化の予言の不確実性と経済的現実を賢明にバランスさせる国となるであろう」と称賛しています。
すなわち、安倍晋三総理が、今月初めに、二酸化炭素排出量を2020年までに1990年比25%削減するという2009年の公約を放棄したことは、経済的復活戦略の目標達成の助けとなる。
安倍総理の宣言は、ワルシャワでのグローバルな二酸化炭素削減に関する会議に際して出された。日本政府は、CO2削減を全く諦めるというわけではないが、新しい目標は、2020年までに2005年比で3.8%削減、1990年比では3%増加、ということになった。
政策転換の一つの理由は内政である。2009年の削減目標は、民主党の鳩山由紀夫総理が設定した。安倍総理は、一期目の2007年に、二酸化炭素削減を支持していたが、伝統的に産業界の支持を得てきた自民党には、民主党政権の公約を実現するために努力する政治的理由がほとんどない。
安倍総理は、経済的成長の回復を約束しており、それは、厳しい排出削減とは相いれない。二酸化炭素の大幅削減は、既に高いエネルギーコストを、キャップ・アンド・トレード(排出権取引)、炭素税、再生可能エネルギーへの補助金により、さらに増大させることになろう。また、日本国民は、気候変動の取り組みに総論では賛成でも、各論になると反対が多くなる。
鳩山氏が公約をした時には、原発が国内の電力の約3分の1を賄っており、二酸化炭素削減のために、その割合をさらに増やすとのことであったが、2011年の福島の原発事故以来、有権者は、原発に背を向けるようになっている。日本の原発は、再稼働の見込みも不確かなまま、全て停止状態に追い込まれ、日本は「化石燃料燃焼列島」になっている。
4年前、日本が大幅削減を約束した時、日本は既に世界で最もエネルギー効率の高い国であった。日本が過激な排出削減目標を達成する道は、実用性の証明されていない新しいエネルギーに莫大な投資をするか、経済活動を縮小する以外になかった。