改革に積極的な習近平の印象づけ
『人民日報』のこうした地方の成功例の紹介記事は、他の地方に対するモデルを提示する意図がある場合が多い。確かにこの記事も浙江省の成功例をモデルとして紹介していると言えなくもない。
張徳江批判については、これまでの政治の流れから見て、習近平と張徳江が対立しているというよりも、張徳江を貶めることで習近平の絶対的地位を強調しようとしたように思われる。
また、汪洋についても、習近平と汪洋が対立しているというよりも、あえて改革の急先鋒と見られている汪洋よりも先に産業構造の改革を実行したことを持ち出すことで、習近平が改革に積極的であることを強調するためだろう。
この記事は、習近平の経済運営能力の高さを誇示するための極めて政治的な宣伝である。しかも、それは経済運営の主導権は李克強ではなく、習近平が握っているということを知らしめることがねらいと言えそうだ。習近平への権力集中が進んでいることを裏付ける記事と言えるだろう
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